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GAUZINE index





================================================ No.030 2001/06/13 ===

  W E B  D E S I G N E R S  M A G A Z I N E  G A U Z I N E

   [COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/010613.html 

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                        配信部数:6,286部
『GAUZINE』 No.030 のラインナップ
 ┃
 ┣『映像作家研究ファイル』「ジョン・カサヴェテス」
 ┣『CREATORS INTERVIEW』「GAUCHO」
 ┗『GREAT WEB CREATORS』「hillmancurtis,inc.」

 
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『映像作家研究ファイル』
 WEB制作者のための映像制作入門/鑑賞編 vol.18
  「即興から生まれるエモーション〜ジョン・カサヴェテス」 
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『映像作家研究ファイル』は、WEB制作において今後増えていくことが予想さ
れる Flashムービーやストリーミングビデオなどの「動画・映像コンテンツ
制作」のヒントになるものを模索・研究していこうという主旨の企画です。


■ インディペンデント映画の父〜ジョン・カサヴェテス

今回は「アメリカ映画の流れをかえた男」とまで言われている伝説の映画監督
ジョン・カサヴェテスをご紹介します。

◆ ジョン・カサヴェテスの足跡 (1929 - 1989)
┣ http://us.imdb.com/Name?Cassavetes,+Johnhttp://www.bitters.co.jp/ppllst.html

俳優としても活躍した今は亡きジョン・カサヴェテスですが、監督としては、
これまでに12本の作品を世に残しています。

 「アメリカの影」(1958)
 「トゥー・レイト・ブルース」(1961)
 「愛の奇跡」(1963)
 「フェイシズ」(1968)
 「ハズバンズ」(1970)
 「ミニー&モスコウィッツ」(1971)
 「こわれゆく女」(1975)
 「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」(1976)
 「オープニングナイト」(1978)
 「グロリア」(1980)
 「ラヴ・ストリームス」(1984)
 「ビッグ・トラプル」(1985)# 本人は自分の作品とは認めていない

しかし、これらの作品は何本かはビデオ化されてないものもあったり、ビデオ
化されているものでも、どこのレンタル店にも置いてあるようなメジャーな
作品群というわけではありません。

# ある意味でもっともメジャーなのが「グロリア」で、リュック・ベッソンの
#「レオン」のルーツ的な作品でもあり、1999年、シャロン・ストーン主演に
# よりリメイク版も公開されたが、オリジナル版には及ばなかった。

数年前、「カサヴェテス・コレクション」としてビデオ化された
┣ http://www.tfc.co.jp/hiroba/movie_theater/collection/john/john.htmlhttp://www.tfc.co.jp/hiroba/movie_theater/collection/john/john2.html
 「アメリカの影」
 「フェイシズ」
 「こわれゆく女」
 「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」
 「オープニングナイト」
と
 「グロリア」「ビッグ・トラプル」などは少し大きめのレンタル店なら見つけ
ることができると思いますが、他の作品はなかなか観る機会がありません。
2000年3月に、
 「愛の奇跡」「ハズバンズ」「ミニー&モスコウィッツ」
  http://www.spice.or.jp/~cineaste/l/1098.htm
の特別上映がありましたが一部の単館系のみの上映でした。


しかし、偉大な映画作家たちは、こぞってカサヴェテスの作品を絶賛しています。
黒澤明もジャン=リュック・ゴダールもマーティン・スコセッシもカサヴェテス
作品を敬愛してやまないといわれています。

また、現在活躍中の多くの映画作家たちにも影響を与えています。
ジム・ジャームッシュも、ガス・バン・サントも、スティープン・ソダーバーグ
も、ハーモニー・コリンも、少なからずカサヴェテスの影響を受けています。

それだけ、多くの映画人に影響を与えながらも、一般的にはあまり知られていな
いという事実がカサヴェテス作品を探る上で象徴的な出来事のようにも思えます。

「天才は理解されるのに時間がかかる」
「偉大な芸術ほど大衆から指示されにくい」
というようなことなのでしょうか。


◆ 即興から生まれるエモーション

ここ数年、日本の映画が海外で高い評価を得ています。
5月のカンヌ映画祭でも、黒沢清の「回路」が国際批評家連盟賞を受賞したり、
「M/OTHER」「ユリイカ」と3年連続で日本映画が国際批評家連盟賞を
受賞しています。

この諏訪敦彦の「M/OTHER」や是枝裕和の「ディスタンス」とかを観
ていると、これはホントに映画なのかと思ってしまいます。まるで、ドキュ
メンタリーフィルムを観ているような錯覚に陥ります。

諏訪敦彦監督のインタビュー
http://www.zokei.net/forums/FriendsNews&Event/No9/000110_2.htm
によると、「M/OTHER」には正式なシナリオがなく、構成台本をもとに
現場で役者とスタッフがディスカッションしながら、即興的に演出していった
とのこと。「ディスタンス」の是枝裕和も同じようなことを言っています。

こうした即興的演出法は、香港のウォン・カーウァイも使っていますが
即興やアドリブが生み出すその瞬間のエネルギーや空気感のようなものを大切
にするがゆえの、ひとつの手法かと想像できます。

しかし、そういった即興的手法に一番早く気づいたのは、多分カサヴェテス
ではないかと思います。彼はすでに40年以上前の監督デビュー作
「アメリカの影」(1958)で即興が生み出すエネルギーや生々しい感覚を
観せてくれていました。

しかし、公開当時、そのスタイルがあまりにも従来の映画の文法からかけ
離れていたため、一般観客には理解されませんでした。

「アメリカの影」は無名のキャストたちの即興的演技によって、シナリオを
発展させながら、手持ちカメラによるあたかもモノクロ・ドキュメンタリー
風の即時性をもたらしています。

従来のおあえつら向きの結論や紋切り型のプロットをとことん排除し、役者
同士のやりとりからシーンごとのリズムを引き出し、予測できない物語の展開
に緊張感を与えています。

こうした当時の主流の規範を拒絶、排除したスタイルは、今でこそひとつの
スタイルとして認知されていますが、40年前にはかなり衝撃的だったはずです。
と同時にすぐには理解されないスタイルでもありました。

「新しいアイデア、未知の感情、一風変わった視点を観客が受けつけないこと
 はよくある。ちょうど実生活において新しい考え方がすぐに受け入れられな
 いようにだ。だが、新しい考え方は、結局は変化をもたらすものなのだ。」

というカサヴェテスのことばどうり、「アメリカの影」は公開当初アメリカで
は全く理解されませんでした。むしろ、数年後に上映されたイギリスやフランス
などヨーロッパのほうで評価され、パリで観た黒澤明監督も絶賛したとのこと。


◆ 古さを感じさせない先見性と普遍性

カサヴェテスの作品は、主に1960年〜80年代に制作されていますが、今観ても
あまり古さを感じさせません。もちろん、当時の社会や時代背景は反映されて
いますが、そこに描かれている人間の姿は今の時代とさほど変わりがないよう
に思えます。

例えば、すでに30年以上の前の1968年に制作された「フェイシズ」で描かれて
いる虚飾に満ちた中流家庭や夫婦が崩壊していくプロセスなど、物質的には
恵まれているが、精神的にどこか孤独感をかかえている現代人の姿とだぶり
ますし、「オープニングナイト」における自分が老いていくことに対する不安
感をかかえながら演ずる舞台女優の葛藤なども、今日的問題であります。

きっと、カサヴェテスは時代を超越したところにある人間の本質を描き出そう
としていたため、たとえ時間が経過しても決して色あせることない作品として
残っているのだろう思います。テーマが普遍的だからこそ、名作として語り
つがれていくのでしょう。

また、スタイル的な面においても、独特のカメラワークや、役者の感情を
最大限に引き出す自由で即興的な演出、激しい感情描写など、それまでに
なかった数々の新しい表現形式を提示しています。

エンディングとかも、意外なほどあっけなく終わったり、意味不明だったり
することもありますが、ありきたりの結論を提示するのでなく、人間の人生
自体が不思議で不可解なように、物語もさまざまに解釈できるようあえて
はっきり言わないようにしているのでしょう。
「フェイシズ」や「こわれゆく女」の淡々とした終わり方など、その直前
までの緊迫感があまりに激しいため、唐突の変化にどこか笑ってしまうよ
うな独特のユーモアと新鮮さを感じさせます。

「タクシー・ドライバー」などロバート・デ・ニーロとのコンビによる名作
の多いマーティン・スコセッシ監督の作品も、かなりカサヴェテスの影響
を受けているよう感じます。爆発するかのごとく激しい感情描写や深みの
ある情緒的表現など。そして、そのスコセッシ自身もその後の映画作家たち
に大きな影響を与えていったわけですから、まさにカサヴェテスが
「インディペンデント映画の父」と呼ばれる偉大な存在なわけです。

# ちなみに、息子のニック・カサヴェテスも俳優・監督として活躍中。
# 監督作として、「シーズ・ソー・ラブリー」「ミルドレッド 輝きの季節」
# などがある。


◆ 人間の苦悩や葛藤を描く

カサヴェテスの作品は気軽に楽しんで観れるような娯楽作品というわけでは
ありません。観るには、それなりに体調を整えて観る必要があるかと思います。
というのは、あまりにもそこに激しいエネルギーが存在しているため、それを
受けとめるだけのこちらの準備がないと、作品を受けとめられないという意味
です。カサヴェテス作品を鑑賞するには、ある種の気合いが必要に思えます。

これは、はじめて「こわれゆく女」を観たときにわたしが感じたことで、
まだカサヴェテスのことをよく知らないまま、ビデオを借りて観たのですが、
ジーナ・ローランズとピーター・フォークの異様なまでもの迫真の演技と
まるで本当に気が狂っているのではないかと思えるほどの緊迫した人間のぶつ
かりあい、それらがあまりにも強烈だったので、観終わったあと、ぐったり
してしまいました。それだけ何らかのエネルギーを観るものに与えてしまう
というのが、カサヴェテス作品の特徴のように思えます。

つまり、カサヴェテスにとって、映画を娯楽ではなく、自己を表現する芸術
であり、それゆえ、楽しさや笑い求めて映画を観る多くの観客には、理解し
がたい作品でしょうし、そのエネルギーを受けとめる準備のないまま観た人
は作品自体を拒絶してしまうのかもしれません。

また、カサヴェテス作品は人間の苦悩や葛藤が大きなテーマとして描かれて
います。人間が苦しんでいる姿があまりにも見事に表現されていると、観て
いる観客も同じように苦しさを感じてしまうのかもしれません。
息苦しいまでもの緊張感や緊迫感を感じてしまうのは、その苦しみが画面を
通して伝わっているという確かな証拠なのでしょう。そういう意味でも
好き嫌いのはっきり分かれる作風と言えるでしょう。

ただ、カサヴェテスの伝えたかったのは、「人間の感情的真実」であり、
苦悩や葛藤は、まさにカサヴェテス自身のそれが投影されたものであった
と推測できます。


◆ 自分自身を貫き通した生きざま

カサヴェテスは、その生き方自体も映画になるくらい劇的で激しいものでした。

生前に残した
「メジャーから経済援助や干渉を受け入れると、創造的な精神が押しつぶされる」
ということばが、彼の制作スタイルや生き方そのものを的確に言いあらわしてい
るよう思えます。

デビュー作の「アメリカの影」にしても、その後の「フェイシズ」や
「こわれゆく女」など一連の作品は、メジャーな映画会社の支援を一切受けず、
自らの資金で制作されています。その資金は、カサヴェテス自身が俳優として
得た収入であったり、家族や親戚からの借金であったり、家を抵当に入れての
借入金であったりします。本当の意味での、インディペンデント作品であり、
低予算でも画期的で芸術的な作品が作れることを証明しています。

「ジョン・カサヴェテスは語る」
  レイ・カーニー編(ビターズエンド/幻冬舎/\3,000)
   http://www.bitters.co.jp/shp.html

という本を読んでいると、カサヴェテスがいかにさまざまなものと戦ってきた
かがよくわかります。商業至上主義のハリウッドの映画システムや、真の創造
性を理解できない批評家たちなど、そして自分自身とも...。
自らのアーティスト精神を貫き通し、映画を作ることがまさに生きることその
ものであり、自分が存在する証しのごとく。
そしてその生きざまは、数々の名言を残しながら、1989年、肝硬変で亡くなる
までつづきました。

「いいアイデアは、答えをもたないことから生まれる」
「映画は探求なんだ。人々への絶えまない問いかけだ。
 いい映画は、それまで考えたことのないような様々なことを問いかけてくる。
 どうして、もう理解できていることを描いた映画を作りたいなんて思う?」
「ありのままの自分で充分なんだよ」

そういったありのままの自分自身を画面に焼き付けてきたものがカサヴェテス
の作品であり、亡くなったあとも何年も語りつがれていく伝説や神話のような
存在である理由はきっと、カサヴェテス自身の存在そのものにあるような気も
します。

「アメリカ映画の流れをかえた男」といわれているカサヴェテスの作品と
その生きざま、「魂の叫び」ともいえるその作品群、機会があれば一度
ご覧いただければと思います。

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★ ジョン・カサヴェテス 関連サイト
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◆ ジョン・カサヴェテス映画祭〜映画の自己投企
┗ http://kermit.pos.to/film/010225.html
 〜世の中には二種類、カサヴェテスが分かる人間と分からない人間がいる〜
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◆ ジョン・カサヴェテス映画祭〜記号の抛棄
┗ http://kermit.pos.to/film/010304.html
 〜カサヴェテスの即興演出について〜
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◆ ジョン・カサヴェテス「グロリア」
┗ http://www.hi-ho.ne.jp/itabashi/gloria.htm
 〜描写はするが説明しない〜
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◆ Cassavetes Intoroduction
┗ http://www.tk.xaxon.ne.jp/~rooster/html/emotional/cassavetes.html
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◆「ジョン・カサヴェテスは語る」(ビターズエンド/幻冬舎)
┗ http://www.bitters.co.jp/shp.html
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◆ Cinema Scape/ジョン・カサヴェテス
┗ http://cinema.media.iis.u-tokyo.ac.jp/person.cgi?pid=524&3=1
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「カイル・クーパー」から「ジョン・カサヴェテス」まで、18回に渡って
お届けしてきた『映像作家研究ファイル』ですが、1年半のうちにそれぞれの
映像作家の新作が公開されたり待機中だったり、といろいろ補足したいことも
でてきています。

なので、次回の『GAUZINE Remix』では、『映像作家研究ファイル』を再度
総括的にまとめてみることにしました。発行日は未定ですが、補足版という
ことでご覧いただければ幸いです。

 
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『CREATORS INTERVIEW』
  WEB制作に関わるクリエイターの方々へのインタビュー
  「GAUCHO」 http://www.gaucho.com/
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◆「CREATORS INTERVIEW #018 〜 GAUCHO 」

「CREATORS INTERVIEW」も、今回で最終回ということなので、自分自身を登場
させることにします。これまで、メールで質問を受けたこととか、自分自身に
聞きたかったことなど、インタビュー形式でお届け致します。

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[Q]
そもそもメールマガジンを発行しようと思われたきっかけは何ですか。

[gaucho]
メールマガジンを最初に発行したのは、2年前の1999年7月ですが、当時、WEB
制作の仕事を進めていく上で、クライアントさんにWEBの特性や仕事の進め方
などを理解してもらうのに、結構時間がかかって苦労していました。
そんな時、自分が読んだ書籍を何冊か紹介したりしながら、デザインの意図
やこういう表現にする理由などをクライアントさんに理解していってもらい
ました。で、そういった仕事を進めていく上で参考になる書籍を紹介する
サイトを作ってみようかな、と考えてました。

当時、Gabbyというプロジェクトにも参加していたのですが、Gabbyのメンバー
がほとんど全員メールマガジンを発行していたこともあり、それをメール
マガジンでやってみよう、と思ったのが最初のきっかけでした。

ですから、ホントは関連書籍を12冊紹介したところ(6ケ月)で完了する予定
でした。しかし、自分の予想以上の方に登録していただいたので、もう少し
続けてみようかな、と思い、その後、月1回発行にして、2年がたとうとして
います。

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[Q]
WEB制作者のためのメールマガジンといいながら、「GAUZINE」では、あまり
技術的なお話や解説がないのですが、どうしてでしょうか。

[gaucho]
WEB制作を行なう上での、技術的な知識やアプリケーションの使い方などは
数多くの書籍が出版されてますし、雑誌などでもよく特集されてます。
最近発刊された「Web Designing」 http://book.mycom.co.jp/wd/
などの専門誌から、「MdN」「design plex」「日経デザイン」などでも
近年、WEB制作に関する特集や連載がふえています。

また、WEB制作の技術的な情報を提供してくれるサイトやメールマガジン、
メーリングリストもいろいろあります。もし疑問や質問などがある場合には、
関連メーリングリストに投稿してみる、という方法もあります。
アプリケーションごとにメーリングリストもありますし、BBSなどに書き込
んだりして相談できるコミニュニティも数多く存在します。

なので、「GAUZINE」ではそういった技術的情報でなく、WEB制作を行なう
上での「制作のヒントになるような情報」をメインにご紹介することにし
ました。

海外のすぐれたサイトや話題の映画などには、数多くの学ぶべき表現という
ものがあります。それらをいろいろ鑑賞することによって、ヒントを発見し
たり、デザインのインスピレーションを得たりすることは、よくあることだ
と思います。主観的なセレクションですが、わたし自身のフィルターを通して
「コレいいんじゃないかな」というような情報を自分なりに編集してみよう
と思いました。結局それが「GAUZINE」の個性になり、存在価値になれば、
という発想です。

脚本家の倉本聡さんが、テレビのインタビューか何かの中で、
「何かを創りだしている人の仕事の半分は人の作品を見ることです」
というようなことを言っておられました。

「人の作品を見る」ということは、世の中にあるさまざな表現スタイルを
知ることであり、単にそれを模倣するのでなく、表現されているエッセン
スの部分を抽出して、一端自分のフィルターを通しアレンジ、編集するこ
とによって、その人なりの新しい表現が生まれる、というようなことかと
思います。

また映画制作とWEB制作では、考え方も手法もかなり異なるわけですが、
「情報を伝える」という点で共通した要素もあり、「情報伝達のための
最適な表現手法を知る」という意味では数多くのヒントやアイデアを
我々に与えてくれます。

もっといえば、身の回りにあるあらゆるのものがヒントになりうる可能性
をもっているようにも思えます。あとは、それに気がつくための「直観」
のようなものをどう身につけていくか、ということでしょうか。

多面的な視点、柔軟な発想、バリアフリーな思考、がそうした直観を生む
きっかけになることだけはなんとなくわかってきましたが、実行するとな
ると、そう簡単ではないみたいですね。

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[Q]
WEB制作をする上で大切にされてることがありましたらお聞かせ下さい。

[gaucho]
ロジャー・ブラックという人の
「デザインは単なる装飾ではない。情報を伝えるものだ。」
ということばを大切にしています。

「情報」といっても、単に「データ」という意味ではなく、人間の「情」
に訴えかける色や形などの情緒的要素を含んだデータであり、文字、絵、
写真、音声、動画などのさまざなな形をとりながら伝えていくもの、と
いうことかと思います。と同時にその「情報」の内容を的確に伝達するため、
どのような表現方法が最適なのか、を考えることでもあるよう思います。

「装飾」によって生まれる美しさや見栄えというものも確かにありますが、
時代的な風潮を考えれば、装飾することよりも、装飾をとることのほうが
重要な気がします。「Google」にしても、「ユニクロ」にしても、余分な装
飾をとりさったあと残る「シンプルなわかりやすさ」のようなものが、時代
の気分を反映しているよう感じます。情報が氾濫し、混乱した状況の中、
本当に「伝わるもの」というのは、すごくシンプルであったり、あっさりし
たわかりやすいもののように思います。

また、WEBの場合、ブラウザ上の情報を1画面づつ見ていくわけですが、
1画面にどれだけの情報を配置すれば情報が伝わりやすいのか、ということ
もよく考えます。「情報量のコントロール」とでもいえばいいでしょうか。

日常会話において相手に何らかの情報を伝えたい場合、なるべく簡潔に
話したほうが伝わりやすいよう、WEBサイトにおいても、簡潔な説明や表現
のほうが時間的な面からもユーザーの集中力の面からも効果的です。

また、日常会話や講義などにおいて一度にたくさんの情報を与え過ぎても、
受けとるほうは負担になり、混乱して、伝わらないことがあります。
まわりくどい説明も、一体何が言いたいわけ?、となりがちです。

1画面の中に、簡潔な説明をどれだけの分量配置すれば伝わりやすいか、
ということは今だに模索中です。ただ「最適な情報量」が「情報を伝える」
ための大きな要素になっていることは確かだと思います。

----------------------------------------------------------------------
[Q]
2年間、メールマガジンを発行されてきて、ご苦労されたことや発見された
ことがあればお聞かせ下さい。

[gaucho]
やはり「継続する」ということがいかに大変なことか、身にしみてわかりまし
たね。もともと飽きっぽい性格なので、日記とかもなかなかつづけられない
タチなのですが、毎月企画を考えて原稿をまとめたり、インタビューをお願
いする方にメールで依頼したりと、時間的にも精神的にもなかなか大変でした。
とりあえず、2年間定期的に発行することができただけでも、飽きっぽい自分
としては上出来かなと思っています。

あと、言いたいことを「文章にまとめる」ことのむずかしさも痛感しました。
普段しゃべっていることでも、いざ簡潔な文章にするとなると、結構大変な
作業で、文法的に意味が通じているかとか、まわりくどくないかとか、いろ
いろと補足、修正しているうちに、あっというまに時間がたってしまいます。
考えていることと、それを人に伝えることとは、全く違う作業なのだなと、
あらためて認識できました。

カサヴェテスのセリフではないですが、メールマガジンの発行は自分にとっ
て、ある意味での「探求」だったかもしれませんね。
どんな情報を選択して、どうまとめるかは、その人の判断と編集能力であり、
それを客観的に見つめていくことによって、自分自身を知ることもできます。
どんな嗜好を持っていて、何に興味を持っているかとか...。

コミュニケーションにおいて、自分を表現するということは、相手に自分を
知ってもらうと同時に自分自身を知ることにもつながっている、という基本
的なことが再発見できたような気がします。

意識的に隠そうとしても、文章にはどこかその人の本質的な面ででてしまうよ
うな気がします。自分でも気がついていないイヤな面やいい面が...。
時間がたって読み返してみると、ホント勘違いしたことを書いているな〜と
あきれてしまったり、よくこんなコピー思いついたな〜と感心したりと、
いろいろ自己発見ができました。あと、それを読んでくださっている、
何千人かの読者の方々がいる、という不思議さとともに。

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[最後に]
これまで19人の方々に「CREATORS INTERVIEW」にご協力していだきました。
皆さん、それぞれの分野でご活躍の方々であり、多忙な中時間をとっていただ
いたことを本当に感謝しております。

過去のインタビュー記事は、
http://www.gaucho.com/21/column/gauzine00.html
にリストアップして、見れるようにしてますので、再度チェックしていただけ
れば幸いです。
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★ GAUCHO 関連サイト
┣ http://www.gaucho.com/21/http://www.gaucho.com/2000/http://www.gaucho.com/shortcut/http://www.gaucho.com/studio/
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『GREAT WEB CREATORS』
  海外で注目されているWEB制作会社の紹介
  「 hillmancurtis,inc. 」 http://www.hillmancurtis.com/
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今回は、Flashの世界ではかなり以前から有名だった、Hillman Curtis氏の
デザイン会社「hillmancurtis,inc.」をご紹介します。

著書の「Flash Web Design〜version5 remix」
┗ http://www.hillmancurtis.com/site2/booksite01.html
や、雑誌の執筆活動など多方面で活躍中の Hillman Curtisですが、
最近では、Adobe.comのリニューアルデザインも手掛けています。
しかし、Hillman Curtisの本領といえば、やはりFlashを使った独特の
Motion Graphic や アニメーション、ムービーかと思います。
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◆ hillmancurtis - WORK - WEB MOTION
┣ http://www.hillmancurtis.com/site2/webmotion01.htmlhttp://www.hillmancurtis.com/site2/webmotion02.htmlhttp://www.hillmancurtis.com/site2/webmotion03.htmlhttp://www.hillmancurtis.com/site2/webmotion04.html
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で、洗練されたムービーの数々がご覧になれます。

http://www.hillmancurtis.com/site2/sitedesign_hccom.html
によると、98年版のhillmancurtis.comのオープニングは、カイル・クーパー
が制作した「フェイク」のタイトルバックに影響を受けてるとのこと。また、
http://www.hillmancurtis.com/site2/broadcast_atm.html
によるとBGMのピアノ音の使い方は、キュープリックの「アイズ・ワイド・
シャット」がヒントになっているようです。シドニー・ルメットの本とか
映画の世界からもさまざまなインスピレーションを受けて制作されているのが
よくわかります。
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★「 hillmancurtis,inc. 」制作サイト
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◆ Adobe
┣ http://www.hillmancurtis.com/site2/sitedesign_adobe.htmlhttp://www.adobe.com/
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◆ I.Q. Ventures
┗ http://www.iqventures.com/
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◆ RollingStone.com
┗ http://www.rollingstone.com/
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◆ Word Central
┗ http://www.wordcentral.com/
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『編集後記』
 「GAUZINE」はしばらくお休みをいただきます
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『GAUZINE』は今回のNo.030 をもって定期発行はしばらくお休みさせていただ
きます。お休み期間中は、不定期ながら『GAUZINE Remix』なる過去のダイジェ
スト版、補足版のようなものを発行させていただく予定です。
最後までご覧になっていただき、誠にありがとうございました。

====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
 発 行    G A U C H O  [ http://www.gaucho.com/ ]
 編 集    尾崎 英明  [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
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