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================================================ No.034 2002/08/07 ===

  W E B  D E S I G N E R S  M A G A Z I N E  G A U Z I N E

   [COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/020807.html 

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                        配信部数:6,095部
『GAUZINE』 No.034 のラインナップ
 ┃
 ┣『映像作家研究ファイル』
 ┃ 「偶然に内包するリアル〜是枝裕和」
 ┣『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
 ┃ 「”ユーザ志向”がそう簡単ではない深いワケ」
 ┣『ブランディングとWEB』
 ┃ 「ますます高まるブランディングの重要性」
 ┗『編集後記』「偶然の一致」

 
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『映像作家研究ファイル』 vol.21
  「偶然に内包するリアル〜是枝裕和(これえだひろかず)」 
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『映像作家研究ファイル』は、ブロードバンド時代に対応していくスキル
としての「映像表現」について探求していく企画です。

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◆ ドキュメンタリーとフィクションの境界線を歩む映像作家〜是枝裕和
┗ http://www.kore-eda.com/kore-eda.htm (プロフィール)

■ リアルさの背景にあるもの 〜「ディスタンス」
 
2001年に観た映画の中で個人的ベスト1だった是枝裕和監督の「ディスタンス」
はドキュメンタリーのもつ即興性や偶然性の要素をフィクションの中に取り
入れ、独自の映像表現を提示してくれた。

昨年の7月、劇場ではじめて「ディスタンス」を観たとき感じたのは、不思議
な緊張感や緊迫感のようなもの。映像のトーンは静かで淡々としているのに、
その映像から伝わってくるのは、ひじょうにリアルで生々しい現実感のような
ものでした。その背景には、是枝監督の挑戦的ともいえる実験的な演出方法が
あったからだと思われます。

「ディスタンス」は、通常多くの映画作品で使われている人工照明や音楽を
一切使っていません。照明は自然光のみで、劇中の音楽もすべて排除され、
ノイズも含めた自然音だけで音響は構成されており、全編手持ちカメラで
撮影されています。

また、セリフの書かれた共通の台本というものはなく、役者に渡されるのは、
監督自らの手書きによるメモだけで、内容は役者によって異なっていたとの
ことです。そこには登場人物の簡単なプロフィールとシーンの状況設定のみ
が書かれており、実際のセリフは役者本人が場面に応じてつくりだすという、
即興的演出で撮影されてます。

役者は、相手がどういうセリフで話しかけ、どう反応するか全くわからない
まま演じているわけですから、そこから生まれる、どこかぎこちない会話の
やりとりや、沈黙も含んだ妙な会話の間は、ある意味ひじょうにリアルな
雰囲気や緊張感を映像にもたらしています。

例えば、遠藤憲一 演ずる学校の教師をしている教団信者の夫と、夏川結衣
演ずるその妻が、マンションのベランダで話す結構長いワンカットのシーン
があるんですが、是枝監督の話によると、遠藤さんは、一日だけ顔合わせを
したあとで、いきなりそのシーンをリハーサルなしで好き勝手に演じて帰っ
ていった(笑)らしいのですが、とてもそうとは思えないような迫真の演技
をみせてくれています。「ル・ル・ラ・ラ…」という信者の掛け声のアドリ
ブには、まわりのスタッフみんな驚かされたみたいです。

是枝監督自身も、そういった役者のもつ潜在的な能力とその状況から生まれ
てくるリアルなことばを引き出すために、あえてセリフを決めない即興的演
出を試みたのかもしれません。この方法は、役者に対する全面的な信頼と偶
然が生み出す瞬発力のようものに可能性をかけた大胆な演出法ともいえます。


■ 人と人との距離〜関係性を描く

「東京都民1100万人の生活を支える水道水に新種のウイルスを混入し、
 128名の死者と8000人に及ぶ被害者を出したカルト教団、真理の箱舟事件
 から明日で丸3年を迎えます。犯行の舞台となった貯水場では……」

というラジオ・ニュースから「ディスタンス」の物語は、はじまります。
フィクションでありながらも、どういう事件をモチーフにしたかは容易に
想像がつくかと思いますが、描いているのは、事件そのものについてでは
なく、その事件によって残された人たちの心の葛藤と闇の部分です。

「ディスタンス」は「人と人との距離」について描いた作品とも言えます。
ある一線を越えてしまった人たちと、残された人たちの「関係性」に焦点
を当てています。通常、あまり目を向けられることのない「加害者遺族」
を描くことにより、「加害者」の関係者でもあり「被害者」でもある、と
いう二重性の中で生きていかなければならない苦悩を抱えた人たちの物語
です。

詳しいストーリーは、
http://www.kore-eda.com/distance/story/case.htm
で紹介されていますが、個人的には、元教団信者役の浅野忠信演じる坂田が、
ある意味で、現代人の抱える孤独感、逃避性、二面性を象徴しているように
も感じました。そして、ラストでさらに大きな心の闇を抱え込んでしまって
いたもうひとりの人物の姿が浮かび上がってきます…。

是枝監督の作品には、我々が見過ごしてしまっていたり、無意識のうちに避
けてしまっている事柄に、あえて目を向けさせるような独自の視点が常に存
在しており、観るものにさまざまな問題提起をします。


■ 必然的な偶然〜偶然に内包するリアル

一般的に、必然的な説明がつかなかったりや因果関係が理解できない出来事
とか、起こる確率がひじょうに低い出来事に遭遇したとき、我々は「偶然」
という言葉でその出来事の特殊性を表現します。しかし、人と人との出会いや、
ふとした選択など、人生は「偶然」の積み重ねによって出来上がっているよう
にも思えることがあります。

「世の中には偶然というものはない」と、書かれている本がありますが、
もしそうだとしたら、「偶然」の中にこそ、ある種の「リアリティ」が存在
しているのかもしれません。

是枝監督が、ドキュメンタリーの方法論をフィクションの中に取り込み、
ある状況下に置かれた役者自らの感情から発せられる即興的な言葉やしぐさを、
ありのままとらえるという発想は、こうした偶然性の中から自然に生まれて
くるものにこそ、観るものの感情を動かすような「リアル」が存在している、
と考えたのではないかと推測できます。

あるインタビュー記事の中で、
『僕はまだ自分の書く台詞が信じられないところがあって、
 何かが生まれてくる瞬間が撮りたいっていうのがあるんですよ。』

と語っているように、ひとつのシーンが出来上がっていくプロセスで自然に
生まれてくる感情や言葉というものをそのまま伝えたい、という願望を
実現するための方法論であったようにも思えます。


■ 海外で高く評価された「幻の光」と「ワンダフルライフ」 

是枝監督の作品は、特に海外で高い評価を得ています。
劇場デビュー作の「幻の光」(1995)は、ヴェネチア国際映画祭で
金のオゼッラ賞などを受賞し、2作目の「ワンダフルライフ」(1998)は、
フランスのナント三大陸映画祭グランプリなど数多くの賞を受賞し、
http://www.kore-eda.com/w-life/index.htm
世界30カ国、全米200館で公開されました。
http://www.kore-eda.com/photoreport/newyork/newyork1.htm

「幻の光」は、監督本人もインタビューの中で語っているように、いわゆる
「映画的スタイル」を持った作品でした。光と影の映像美やロングショット
などの手法は、ビクトル・エリセや侯考賢のスタイルに影響を受けており、
すべてのシーンが「コントロールされた」まさに「映画的」な作品でした。
終盤近くのロングショットは、限りなく雄大な自然美を映しだしています。

「ワンダフルライフ」以降は、そういった映画的ルールを壊すことによって
また新たなものを創り出そうとする探求がはじまります。
これまでのようにシーンを「コントロールすること」をやめ、役者といっしょ
になり、シーンをどう構築していくか、という方法論に転換し、ドキュメン
タリーとフィクションの境界を模索しながら、素人の役者を起用したり、
明確なセリフを決めない演出が取り入れられ、3作目の「ディスタンス」に
つながっていくわけです。

「ワンダフルライフ」は、人が死んでから天国へたどりつくまでの7日間を
描いたある種の寓話ですが、「人にとって一番大切な思い出とは何か?」
という人生の記憶にまつわるお話です。素人の人が語るセリフは、まさに
「真実の記憶」であり、生き生きとした情感が伝わってきます。

「幻の光」での「喪失の物語」、「ワンダフルライフ」での「記憶の物語」、
「ディスタンス」での「関係性の物語」は、どれも「生と死」「喪失と再生」
「現実と虚構」という人々が抱える普遍的テーマを含んだ、是枝監督の深くて
洞察に満ちた視線を感じます。


■ プロデュース作品と新作情報

Coccoのミュージックビデオ(2000)や日産やサントリー「なっちゃん」
のTV-CMなど、幅広い分野で活躍している是枝監督ですが、今年は新人監督
の作品を2本プロデュースするようです。
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「蛇イチゴ」(西川美和監督・雨上がり決死隊 宮迫博之主演)
 ┗ http://www.kore-eda.com/misc/hebiichigo.htm
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「カクト」(伊勢谷友介監督・主演)
 ┗ http://www.kore-eda.com/misc/kakuto.htm
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また、今年秋から撮影を開始する自身の次回作も決まっているようです。
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「誰も知らない」
 ┗ http://www.kore-eda.com/misc/nooneknows.htm
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母親に捨てられた兄弟4人が東京のアパートの一室で過ごす1年間の物語、
とのことで、この作品もドキュメンタリーとフィクションの境界線から
生ずる新たな映像世界を観せてくれることでしょう。

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■ 今回のまとめ
・ドキュメンタリーとフィクションの境界は、あいまいになってきている
・偶然性の中から生まれるものにこそ、ある種のリアリティが存在する
・即興的演出は、リアルな感情表現を引き出す可能性を含んでいる
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★ 是枝裕和 作品関連サイト
----------------------------------------------------------------------
◆ 是枝裕和 作品リスト(ドキュメンタリー作品含む)
┗ http://www.kore-eda.com/works.htm
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◆「ワンダフルライフ」 
┗ http://www.kore-eda.com/w-life/index.htm
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◆「ディスタンス」 
┗ http://www.kore-eda.com/distance/index.htm
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◆ 現代社会における被害者と加害者の距離(大場正明氏レビュー)
┗ http://c-cross.cside2.com/html/a10te001.htm
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★ 参考資料
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・「幻の光」「ワンダフルライフ」(レンタルビデオ)
・「ディスタンス」(DVD) 
・「DISTANCE」劇場用パンフレット
・BOOK「DISTANCE〜映画が作られるまで」(是枝裕和、若木信吾:写真)
・NHK「トップランナー」出演時録画ビデオ(2001.07.12 放送)
・NHK「真剣10代しゃべり場」出演時録画ビデオ(2002.07.27 放送) 
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【PROFILE】 尾崎英明  [ GAUCHO ]
 http://www.gaucho.com/  mailto:gaucho@hal.ne.jp
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※10月以降の『映像作家研究ファイル』のラインナップは、
 「The Royal Tenenbaums」「Waking life」の新作公開を控えた
 ウェス・アンダーソン、リチャード・リンクレイターなどを予定してます。
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『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
   「〜”ユーザ志向”がそう簡単ではない深いワケ〜」
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WEBデザインを表現面ではなくコミュニケーション面からみつめなおすコー
ナー。ふだんデザイン誌があまりとりあげないレアな視点で書いてゆけたら、
と京都でWEB構築・デザインの仕事をはじめて6年の 井浦むつお が担当します。
よろしくおつきあいくださいませ。

前回は、サイトを利用する視点にたったクリエイティブについて触れました。
今回は、その対象であるユーザについて少し掘り下げてみます。

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■わたしたちは意志をもった生活者

ユーザ調査、ターゲットユーザ、ユーザビリティ、・・・。ユーザという言
葉、よく見聞きするようになりました。Webの勃興と時を同じくして急に盛ん
になったような気がします。インタラクティブ性をもつWeb環境で、利用者の
存在が大きくクローズアップされてきたことと関係が深いのかもしれません。

ユーザを直訳すると”使い手”とでもなるでしょうが、その主体は何を隠そう
わたしたち自身。いまも昔も生活し続けてきた喜怒哀楽をもったありのままの
人間です。単純に使い手というわけでは、どうもなさそうです。例えば、検索
エンジンの使用、を考えてみます。私たちは、検索結果がほしいために使うの
であって、決してエンジンを使うこと自体が目的ではありません。言い換えれ
ば、積極的に何かを生み出すために使っているのです。生活者としての視点か
ら、有益かそうでないかを暗黙のうちに判断しながら”ユーザであり続けてい
る”とも言えるのではないでしょうか。ユーザは利用意志をもった生活者。あ
りのままの自分。いわば”生きているユーザ”ということです。


■生きているユーザと接している実感

ある通販業の方とミーティングしていたときのこと。担当の女性がこうおっ
しゃったのが印象に残っています。
「お客の声を素直に反映しただけの商品って、売れた試しがないんですよ。」
もちろん、お客の声を上手に聞いて商品やサービスの企画・改良に活かされた
例はいくつもあるでしょう。ただ、ここで彼女の言いたかったことは

『お客の声は決して”約束”ではない』

ということだったのだ、と後で気付いたものでした。実際、自分でも『来週、
どんな商品を買っているかご自由にお書きください。ご希望のものをご用意し
ます。』と聞かれたら多少とまどってしまうだろうな、と思います。明日、他
社からもっと刺激的な商品がリリースされるかもしれませんし、そもそも興味
自体が変わっているかもしれませんよね。

ユーザアンケートでお客の欲求を吸いあげる難しさは、私もある物販サイトの
運営に関わっているときにいやというほど感じました。当時欲しかったのは
『未来のユーザ像』。日々変わるユーザ像の追随です。私の稚拙なヒヤリング
を反映させたサイトづくりは、いわばバックミラーだけ見ながら運転すること
に等しかったようにも思えたのです。


■コミュニケーション創造に不可欠な、観察と理解

ある子供向け情報サイトのプロデューサが1ヶ月、保育園で子供達と一緒に過
ごしたという話を聞いたことがあります。彼らが何に驚き、何をいやがり、何
に目を輝かせるか、じっと観察するためです。なるほど生きているユーザ把握
にフィールドワークは有効かもしれません。彼らの考え方や価値観を理解でき
れば、自然、要望や欲求の生まれ方について直感的な判断力もつくかもしれま
せん。

ユーザ志向のデザイン、尊い響きです。ただし、デザイン表現に結びつける前
段階であるユーザ理解がそう簡単ではないこともまた非常に重要であることは
確かです。繰り返しになりますが、生活者ユーザは自分と同じ生身の人間。人
類学者や心理学者のようなスタンスで「わたし自身」を掘り下げて研究してみ
ることもユーザ理解の一助になりうるかもしれません。

今日、あるメールマガジンを退会してしまいました。代わりに、他のマガジン
を購読し始めました。その原因は自分でも明確にはわかりません。マガジン配
信主は私のような浮気読者をもって大変かもしれません。(笑)ただ、そうし
た日々コロコロと変わりゆく自分の研究が、より効果的なコミュニケーション
創造とどこかで繋がっている、と実感するのもまた確かなのです。

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■ 今回のまとめ
・単純なユーザ、はいない。意志を持った生活者である。
・簡単なヒヤリングで、日々変化するユーザ像は把握できない。
・より良いコミュニケーション創造において、観察と理解は欠かせない。
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【PROFILE】 井浦むつお  [ データセクション京都 ]
 http://www.datasection.co.jp/    mailto:iura@datasection.com
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『ブランディングとWEB』
  「ますます高まるブランディングの重要性」
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『ブランディングとWEB』は、ブランディングにおけるWEBの役割・可能性など
を探り、その中から日々のWEB制作活動に役立つエッセンスを取り入れよう、
という企画です。一介のWEB屋である空想屋の山下マモルがお送りいたします。

■ ブランディングと企業イメージ

先回、ブランディングとは「自社商品を他と区別するための創造活動」である
ということを述べましたが、広い意味では、その商品をプロデュースする企業
の「企業イメージの創作活動」であるとも言えます。

では「企業イメージ」はどのように形成されるのでしょうか?

まず、企業イメージとは、それを評価する人が誰であれ、企業のほんの一面し
か見ていませんが、彼らにとってはそれが全てであるということです。例え
ば、ある企業のWEBサイトを見ただけで、その企業に対するイメージ全てが固
まってしまうということも大いにあり得る訳です。そういう意味では、私のよ
うなWEBサイト制作者の責任と役割も決して小さなものではないと言えます。

次に、企業イメージには複数のレイヤーがあると言えます。例えば、その企業
がどんな商品やサービスをプロデュースしているのか、という要因もあれば、
その企業がどの国や地域に所属しているのか、という要因もあります。例を挙
げると、船を作る企業に対するイメージと化粧品を作る企業へのイメージは異
なるはずです。また、表参道に本社のある企業と新橋に本社のある企業とでは、
それだけその企業に対するイメージも変わってしまうかもしれません。

最後に、企業イメージは時間を掛けて構築される、ということが言えます。言
い換えると、企業イメージの構築には、長期的で首尾一貫した表現が必要であ
るということです。

以上の3点を頭の片隅に置いておくなら、WEBサイトの構築にあたる際も、それ
がどのように企業イメージの構築に寄与すべきなのか、どのようにブランディ
ングの一部となるべきなのか、自ずと見えてくるかもしれません。

■ ブランディング手法の変化

しかしながら、企業イメージ構築を含むブランディング手法は大きく変化しつ
つあります。これまで多くの日本企業では、「企業名」を前面に出したブラン
ディング手法が主体となっていました。つまり、今までの消費者は「歴史のあ
る会社だから」「有名な会社だから」「大きな会社だから」という理由で商品
を購買するという傾向にありました。しかし最近では、そのような動機ではな
く自分独自のスタイルを持ち消費するようになってきたため、企業名という言
わば大きな傘を広げて、その下に個性の薄い商品をぶら下げるというトップダ
ウン型のブランディング手法が通用しなくなってきました。大企業の一連の不
祥事は、その傾向に更に拍車をかけていると思います。

そのため、今求められているのは、各商品毎に別々のブランディングを行い、
結果として企業イメージをもブランディングするという、ボトムアップ型の方
法のようです。企業名よりもブランド名(商品名)が前面に出てる場合が多いの
は、その表われと言えるでしょう。
(VAIO & SONY、X-TRAIL & NISSAN etc.)

■ 新たなブランディング戦略と体制の重要性

以上のことを考えると、「ブランディング」がどれほど複雑で大掛かりなこと
かが理解できますし、関わる要因もたくさんあることが分かります。そのため、
今、多くの企業でブランディング戦略とその体制の見直しが必要とされていま
す。マーケティング部門、広報・IR部門、経営企画部門...今まで以上に多
くのリソースとブレーンが必要になってきています。そんな中、対消費者のブ
ランディングであれ、対投資家のブランディングであれ、いわゆる「クリエイ
ティブ」に期待されることは大きなものですし、その中でWEBが果たすべき役
割も決して小さなものではないと言えるでしょう。逆に言うと、私のような一
介のWEB屋である者でも大きな役割を果たし得る、と考えると、背筋がピンッ
となるような気がします。

そのため、WEBを含めたクリエイティブ分野において、そのチームを指揮する
アートディレクターやブランドマネージャーという肩書きの人が活躍していま
す。次回はそのようなポジションの人にスポットを当てつつ、ブランディング
には具体的にどのような仕事が関係するのか、考察してみたいと思います。

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■ 今回のまとめ
・ブランディングは「企業イメージの創作活動」とも言える。
・ブランディングの手法はボトムアップ型に変わりつつある。
・ブランディングに関わる者への期待その責任はかなり大きい。
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★参考文献
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執筆にあたり、下記の資料を参考にしています。もしご興味を持たれた方が
おられましたら、是非とも一読されることをお勧めします。
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◆「ザ・ブランド」 ナンシー・ケーン著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4798101451/qid=1025849135/sr
=1-1/ref=sr_1_2_1/249-6175200-6095500
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◆「ブランディング22の法則」 アル・ライズ/ローラ・ライズ共著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/488497073X/qid%3D1025849202/
249-6175200-6095500
----------------------------------------------------------------------
◆「インターネット・ブランディング11の法則」アル・ライズ/ローラ・ライズ共著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4884970837/qid%3D1025849233/
249-6175200-6095500
----------------------------------------------------------------------
◆「ブランド戦略の実際」 小川孔輔著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532104874/qid%3D1025849271/
249-6175200-6095500
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◆「日経コーポレートブランドセミナー」 7月9日@日経ホール
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【PROFILE】 山下マモル [ 空想屋 ]
 http://www.coosouya.com/  mailto:yamashita@coosouya.com
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『編集後記』
  「偶然の一致」
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(やや唐突ですが、「偶然」つながりということで …。)

「偶然の一致」とか、ユングのいう「共時性(シンクロニシティ)」は、
人によって起こる度合いがまちまちのようですが、実は「偶然の一致」の
ような出来事は、常に至るところで起こっているのに、単に本人が気がつい
ていなかったり見過ごしてしまっているだけなのではないか、と最近思うよ
うになりました。

もちろん、そういった意味のありそうな「偶然の一致」をパズルのように
探しだし、無理矢理こじつけたりすることもできますし、はたしてどこまで
が「偶然」なのか、というあいまいな面も多々あります。

ただ、何か問題を抱えているときや、アイデアに煮詰まっているときに、
「偶然」のような出来事から、解決策やアイデアのヒントが見つかったりす
ることって、ひじょうに便利だったり助かったりします。そういう偶然は、
まさに天からの恵みのごとく歓迎ものです。

しかし、そういった「偶然」は意識的な「思考」を働かせているときでなく、
むしろ「思考」をはずした「無意識的なとき」に起こる傾向があるようです。
いろいろな本に書いてある仮説を総合して考えると、潜在意識下にある
「直観」のようものが、自分の望んでいる出来事を引き寄せる波長や力を
持っており、「偶然」のような出来事をきっかけに、そのときに必要な
メッセージやヒントがさりげなく導き出される、というある種の流れの
ようなものが存在しているようにも思えます。そういう意味では、偶然の
ように見える出来事も、実は、無意識下にある自分自身の隠れた願望が引
き寄せた必然的な出来事なのかもしれません。

最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。
次回は、9月7日発行の予定です。

====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
 発 行    GAUZINE NET  [ http://www.gaucho.com/gauzine/ ]
 編 集    尾崎 英明  [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
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