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================================================ No.035 2002/09/07 ===

  W E B  D E S I G N E R S  M A G A Z I N E  G A U Z I N E

   [COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/020907.html

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                        配信部数:6,113部
『GAUZINE』 No.035 のラインナップ
 ┃
 ┣『映像作家研究ファイル』
 ┃ 「日常に潜む非日常的瞬間〜山内健司」
 ┣『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
 ┃ 「ふだん誰もがやっているデザイン?〜伝わるために必要なこと」
 ┣『ブランディングとWEB』「注目したいNEWS&PEOPLE」
 ┗『編集後記』「無理をしない」

 
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『映像作家研究ファイル』 vol.22
  「日常に潜む非日常的瞬間〜山内健司(やまうちけんじ)」 
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『映像作家研究ファイル』は、ブロードバンド時代に対応していくスキル
としての「映像表現」について探求していく企画です。

◆ 独自の世界観を放つ映像作家〜山内健司

■ CMディレクターの活躍

15秒か30秒で、情報を伝達しなければならないCMには、映像表現における
さまざまなエッセンスが凝縮されているよう思います。

CMディレクターの場合、広告系の雑誌のクレジット以外では、表に名前が
出る機会も少なかったのですが、近年、映画やドラマを手掛ける人も登場
するようになり、知名度とともに注目度も高まっています。 特に、
石井克人(「鮫肌男と桃尻娘」他)、中島哲也(サッポロ黒ラベルCM)
などは、劇場用長編映画も手掛けてますし、「世にも奇妙な物語」で放送され
た「ブラックルーム」(石井克人演出)や「ママ新発売!」(中島哲也演出)
など、TVドラマとしては革新的な名作短編も発表しています。
また、 最近(8/26)放送された中島哲也演出の
「私立探偵 濱マイク/ミスター・ニッポン〜21世紀の男」
なども、絶妙なキャスティングと意表を突く展開で笑いころげながら楽しんだ
方も多かったかと思います。(林家ペー&パー子がまさかあんな役とは…。)

このようにCMの世界から新しい感覚を持った映像作家が続々と登場する中、
今回は、「NOVA」「クオーク」などのCMで知られるCMディレクター
山内健司さん をご紹介することにします。抜群の映像感覚を持つ石井さんも
中島さんも個人的には大好きなんですが、今回はどちらかといえば「映像派」
ではない山内健司さんを選択させてもらいました。「映像」における「言葉」
の役割というものを考える上で、山内作品は多くのことを教えてくれます。

■ CMからショートフィルムへ

1958年生まれの山内健司氏は、電通映画社(現、電通テック)を経て、1992年
よりフリーのCMディレクターとして活躍されています。
山内健司の名前は知らない方でも、山内監督の手掛けたCMをご覧になった方
は多いかと思います。

以下、山内健司 脚本・演出による代表的なCMを列記してみました。
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★ 山内健司 CM作品
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・SEGA「湯川専務」シリーズ
・QUOQ「ついに来たこの日」http://www.quoq.co.jp/cm/04.htm
   「クオークの楽しみ」 http://www.quoq.co.jp/cm/05.htm
・NOVA「NOVAの日」
・TBC「ナオミに変わる日」(ナオミ・キャンベル)
・日清食品「UFOヤキソバン」
・日清食品「カップヌードルチーズカレー〜チーズ星人」
・森永製菓「ハイチュウ〜喜びの表現」(矢田亜希子&唐沢寿明)
・明治乳業「THE COFFEE MILK〜遅れてきた牛」
・ロッテ「トッポ〜実習生ナガセ」(長瀬智也)
・日光江戸村「にゃんまげに飛びつこう」
  http://www.jidaimura.co.jp/news/nyanmage.htm
・日新観光「コンコルド〜教授の予定」
  http://www.concorde777.com/cf.html
・富士通「ムーバ F504i」(阿部寛)
  http://ad.fujitsu.com/ad/keitai/f504i/
 ※山内監督の絵コンテとインタビューあり

・Cat'S「床下ドクター・キャッツ登場」(遊井亮子)
・グリコ「プリッツ〜ショコラ小林 & トマト山田」(稲垣吾郎)
・ジャックスカード「ジャングルの勇者カトリ」(香取慎吾)
 ※最後の3本は「Smap Short Film」(VIDEO、DVD) に収録されてます。
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一度CMを見た記憶のある方なら、タイトルだけでもなんとなくその映像が
浮かんでくるかと思いますが、それだけ強烈な印象を残した作品が多いという
ことかと思います。「ヤキソバン」「湯川専務」「にゃんまげ」など強烈な
キャラクターたちを生み出したのも、実は山内監督だったんですね。
TBC「ナオミに変わる日」(1997)も当時はかなり話題になりました。

また最近ではCM以外にも、ショートフィルムもいくつか手掛けています。
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★ 山内健司 ショートフィルム作品
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◆「治療」7分(Smap Short Film 収録/VIDEO、DVDあり/2001.04.09放送)
┗ http://www4.justnet.ne.jp/~nakamura.t/tv34.htm

夢か現実かわからないまま、病院で目覚めた香取くんが、病室でCMを撮影
することになるのだが、そこに機関銃を持った男が乱入し、病室は一転悪夢
の世界へと変貌する…。
----------------------------------------------------------------------
◆「ボヌールハイツ」19分(Grasshoppa! vol.1 収録/VIDEO、DVDあり)   
┗ http://www.grasshoppa.jp/film/dvd/index_vol01.html

別れ話のもつれから、元恋人を殺害してしまった女性が近所の交番にかけこみ
警官を現場に呼ぶのだが、その警官が予想外の行動をはじめ、事態は悪化し
さらなる惨劇ヘと…。
----------------------------------------------------------------------
◆「マンホール」19分(世にも奇妙な物語/春の特別編/2002.03.27放送)
┗ http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/kimyo/

リストラを宣告されそうなサラリーマンが出勤途中、マンホールに落下。
そこは事務局長と名乗るネズミが管理する地下世界で、地上に出るために
は、ネズミの裁判を受けなければならない。時間がないので、かわりに人間
に化けたネズミが出勤するのだが…。
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最初観た印象は、ドラマというより長いCMなのかな?と錯覚してしまい
そうな映像なのですが、それだけCMで築き上げてきた独自の世界観が、
「山内健司スタイル」として日本のCM界に存在していたことに気づかされます。

■ 確信犯的なフェイクと不条理性

山内作品は、基本的には「コメディ」なのですが、その笑いの中には、
ストレートなドタバタ劇から、ある種のシュールさと皮肉の効いたブラックな
テイストが入り交じった独特の世界観を持っています。

登場人物の早口でどこか棒読みのような独特のセリフ回しは、限られた時間の
中により多くのセリフを詰め込むための苦肉の策を逆手にとった演出上の狙い
ともとれますが、これが明らかに「虚構の世界」のお話であるということを
前提にした上で、ブラックな部分を多少なりとも柔らげているようにも思えま
す。シュールでブラックな不条理劇という点では、コーエン兄弟やルイス・ブ
ニュエルなどを彷彿させる作風ともいえます。

「ボヌールハイツ」は、交番の警官がいきなり死体解体をはじめたりする
とんでもないストーリーなんですけど、日常的風景が唐突に非日常的風景に変貌
する瞬間はスリリング、かつ意表を突かれ驚かされます。シュールでブラックな
テイストは、日常に潜む現代人の狂気をデフォルメして描いているという点では、
笑いながらもどこかゾッとする恐怖感をも感じさせます。実は、似た事件から
アイデアを得た、という山内氏の話を聞いてさらにビックリ…。
http://www.grasshoppa.jp/film/extra/extras_bonu_01.html

■ スピード感ある会話と予想できない展開

また、その「会話の妙」も山内作品の大きな魅力のひとつです。
企画から脚本、演出まで手掛ける山内監督は「笑い」を生みだす要素としての
「言葉」をひじょうに大切にされてるようで、絵コンテもまずセリフから書き
始めていていくとのこと。15〜30秒という短い時間である種の物語を作り、
強烈な印象を残すために、緻密に練られたセリフと、たたみかけるようなスピ
ード感により、山内作品はその「言葉」の持つ力を最大限に発揮しています。

例えば、個人的には名作だと思う「床下ドクター・キャッツ」のCMはこんな
感じのストーリーです。柱をかじっているシロアリ男を発見した妻が、警察を
に電話をしようとしたとき、ふと床下ドクターのキャッツ先生のことを思いだ
す。そこに白衣を着たネコのキャッツ先生が助手とともにさっそうと登場。
シロアリに襲いかかるキャッツ先生を見て、突然笑いだす妻…。

妻「アハハハ!」
夫「なぜ笑う。」
妻「だってうれしいわ〜。」
夫「夢のような夜だ…。」
ナレーション「床下ドクター、キャッ〜ツ!」

設定とセリフだけでも、なんとなくシュールな雰囲気が伝わってくるかと
思いますが、会話の間はほとんどなく、異様に速いテンポでストーリーは
進んでいき、全く予想裏切るところに着地する感覚は刺激的です。
しかし、そこにはしっかりとした30秒のドラマが存在しています。

このCMは、「Smap Short Film」(VIDEO、DVD) の監督別CM作品集の中に
収録されていますので、興味のある方はレンタルビデオを探して是非ご覧下
さいませ。山内ワールド全開の怪作です。 

■ 現実の裏返しとしての虚構性

笑える会話を生みだす要素として、「ディスコミュニケーションのおかしさ」
のようなものがあるかと思います。

会話をする者同志のお互いの意見が、全くかみ合ってなくすれ違うことによっ
て誤解や勘違いが生まれ、それが口論に発展し、その口論がしだいにエスカレ
ートして、過激な行動に出たり暴走してしまう自分勝手な人やキレてしまう人
たち…。山内作品では、そういった自己中心的な人たちのわがままで衝動的な
行動や言動がギャグの対象になっている場合があります。

しかし、多かれ少なかれ誰でも「自己中心的」なところはあり、そういった
部分がパロディ化されたストーリーだからこそ、無意識的に共感しやすいよう
な気もします。「こういう人いるいる。」とか言いながら笑っていても、実は
自分の中にも、そういった自分勝手なところがあることを、もう一人の自分が
よ〜く知っているからこそ、笑えるような気もします。

衝動的な行動に走ってしまう人たちの背景には、ある種の抑圧された感情があ
り、そのプレッシャーに耐えかねて、爆発し暴走してしまう、という現代人が
抱えている潜在的ストレスの存在を暗示しているとも言えます。そういう観点
から考えると、山内作品の虚構性は、現実性の裏返しとしての逆説的表現とも
思えてきます。先月ご紹介した偶然から生ずるリアリティを追求した是枝監督
の表現方法とは、全く逆のアプローチなのですが、着地点としての
「現実を描く」という部分では共通した方向性も感じます。

偽善や権威に対する皮肉なパロディが、表現としてある程度当たり前の時代に
なってしまうと、徹底した虚構性をもって描きだす手法が、逆により現実的に
見えてくるのかもしれません。権威や権力の持つ暴力性や虚偽性が暴露されて
いく現実を冷静に見つめるには、もはや「笑い」という救いを加味しないと
見るに耐えられないような時代になってしまっているのかもしれません。

何が面白くて何が笑えるのか、というのは多様な価値観が同居する状況の中、
非常にむずかしいこととは思いますが、山内監督は今までとひと味違う
新しい笑いを創りだし、日本のCM界に大きな影響を与えてきたクリエイ
ターの一人であることは間違いないでしょう。今後もその動向は要注目です。

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■ 今回のまとめ

・15〜30秒に凝縮されたストーリー展開から映像表現のエッセンスを学ぶ
・映像における言葉の役割は、会話のリズムやテンポで生きてくる
・徹底した虚構性をもって、逆説的に現実を反映させる表現手法もある
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◆ 山内健司氏 インタビュー
┣ http://www.grasshoppa.jp/text/paper/002_content_a01.htmlhttp://www.grasshoppa.jp/film/extra/extras_bonu_01.html
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【PROFILE】 尾崎英明  [ GAUCHO ]
 http://www.gaucho.com/  mailto:gaucho@hal.ne.jp
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『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
  「ふだん誰もがやっているデザイン?〜伝わるために必要なこと〜」
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WEBデザインを表現面ではなくコミュニケーション面からみつめなおすコーナー。

■いたるところにいるデザイナ

もし、友人から「ペットの世話をしてくれるよう、どうお隣さんに頼んだらい
いかしら?」と相談されたとします。果たしてこれはデザイナの仕事でしょう
か?

わたしたちが、ふだん知らず知らずのうちにやっていること。はじめて来る友
達に道順を教える、もっと買ってくれるようお客様にお願いする。これらを単
にコミュニケーションと片づけるのは簡単ですが、では「頭の中で何を行って
るのか?」と問われれば「うまく伝わるように情報を取捨選択、創造」してい
るわけで、まさにデザイン。そういう意味で大なり小なり、みなデザイナとい
えます。特に特別なことではありません。


■コミュニケーション課題を解決する、という仕事

さらに焦点を絞ると、相手をその気にさせるために「何を伝えようか」、「ど
う伝えようか」とコミュニケーションの工夫をするところに”デザイン”があ
ると言えます。重要なのは、そこには課題があるということです。
冒頭の例でいえば「ペット、ひきうけてくれるよう相手を説得すること。」が
それです。単に『お願いする』という作業を淡々とやることとは違います。い
かに声がきれいだろうと、言葉遣いが丁寧だろうと、いわゆる単なる電話代行
ではうまくいきません。

サイトづくりでも本質的には変わらないはずで、トップページに美しいビジュ
アルを揃えても、必ずしもサイトユーザの満足度を得られるとは限りませんよ
ね。課題を適切に解決するというスタンスが、デザインの重要な目標になると
いえます。


■コミュニケーションデザインでは、何よりもデザインプロセスが重要

誰もが普段やっているコミュニケーションデザイン。とはいえ、上手に相談で
きる人もいればそうでない人もいます。日常の生活の中で、相談のうまい人に
意見を求めることもあるでしょう。つまりプロの意見を聞く。サイトデザイン
でいうと『ヒューリスティック評価』と呼ばれます。実践や研究などの経験と
照らし合わせチェックするわけですね。さしずめ、お隣さんを想定して予行演
習するのは『ユーザビリティチェック』でしょうか。
http://www.bebit.co.jp/research/column/column008.html

こうやって考えると、ユーザを志向したデザインでは特に『プロセスが重要
だ』ということがわかります。何のために、どんなことをどんなステップで行
い、どう判断するか?つまり、つくりだす過程、プロセスを正確にすることが
大切になります。普段「表現スタイルを真似たユーザビリティデザインはあり
得ない」と、よく思います。必要なのは結果である表現ではなくて、つくりだ
す過程だからです。しかしながら、私の場合、ふだんの仕事の中でプロセスそ
のものに力点をおくことはそう多くないのが現状です。だからこそ重要性を実
感します。


■ビジュアリストの隠れたアドバンテージ

最後に、仕事柄よく耳にすることを。よく「今回はデザインに凝らず、使いや
すさを選ぼう」などという会話が飛び交います。しかし、そもそも『デザイン
に凝ると使いにくくなる』という法則はないはずです。声のきれいな人が必ず
しも説得に弱くないのといっしょで、”美しい、きれい、たのしい”といった
価値は武器にこそなれマイナスにはならないはずです。ビジュアリストの優れ
た資質を上手にコミュニケーション創造に活かせるとすばらしいですよね。こ
の点についてはまた後日に。

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■ 今回のまとめ

・コミュニケーションのデザイン。重要なのは結果ではなく、そのプロセス。
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【PROFILE】 井浦むつお  [ 有限会社ヒキダス ]
 http://www.hikidas.com/ (ただ今準備中〈汗;〉)mailto:iura@hikidas.com
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『ブランディングとWEB』
  「注目したいNEWS&PEOPLE」
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『ブランディングとWEB』は、ブランディングにおけるWEBの役割・可能性など
を探り、その中から日々のWEB制作活動に役立つエッセンスを取り入れよう、
という企画です。一介のWEB屋である空想屋の山下マモルがお送りいたします。

■ ブランディング手法は未だ確立されていない

前々回と前回の執筆の中で、ブランディングの定義とその重要性についてお伝
えしました。今回からは具体的なブランディング手法について考えていき、日
々のWEB作りに生かしていただければ、と考えています。

...と言いつつ、まずお伝えしなければならないのは、ブランディング手法
はまだ確立されていない、ということです。偶然、それを裏付けるニュースを
日本経済新聞の中で見つけましたので、一部を抜粋して引用したいと思います。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「企業ブランド構築支援 −博報堂が新手法」

博報堂は企業ブランドの構築を支援するための体系化した手法を開発した。企
業ブランドの現状を分析・評価し、消費者や投資家などに浸透させるための広
報戦略を立案する。一貫性のある広報活動を通じて、企業のブランド資産価値
を高める。

・・・同社は社内のノウハウを体系化する作業を1998年から進めていた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

大手広告代理店・博報堂のこのよう発表は、ブランディングが重要視されてる
ことを再認識させます。と同時に、大手広告代理店がようやくブランディング
手法を体系化させそのファーストリリースを行なったという事実は、まだまだ
これから確立されていく必要のある分野であるということも分かります。

しかし、ブランディング手法がまだ確立されていないからと言って、その確立
を指をくわえて待っている必要はありません。今実践できる有益の方法の1つ
は、ブランディングに関してその先人を手本にし、そのエッセンスを取り入れ
ることです。(そして、それを自分なりに咀嚼しトライ&エラーを繰り返すこ
とが許されるのも今だけかもしれません。)特に、いわゆるクリエイティブ分
野において、注目しておいて損はない(と筆者が個人的に考える)2名の方を
ご紹介したいと思います。

■ 注目したいPEOPLE NO.1

「使われないサイトをなくすことが、今の僕の使命かもしれない。」
そう語るのは株式会社ビジネス・アーキテクツ代表の福井信蔵氏です。

福井信蔵氏:株式会社ビジネス・アーキテクツ代表
→ http://www.b-architects.com/

少し「ブランディング手法」から話がそれるかもしれませんが、福井信蔵氏の
数々のインタビューなどを見ていると、常に出てくるキーワードは「楽しい」
ということです。その楽しさの源となっているのは

・イマジネーションを形にする喜び
・作り手の喜び、依頼主の喜び、ユーザーの喜び

のようです。

依頼主の意思を引き出すこと、言葉にできないイメージを具現化すること、そ
れらをブランディングとも呼べると思いますが、その作業は非常に難しいこと
ですし、時には苦しいことでもあります。と同時に、その作業には福井信蔵氏
が「気が狂うほど楽しい」とも述べておられるくらいの楽しさがあるわけです。

以上のことを踏まえた上で改めて福井信蔵氏が関わられたWebサイトを訪れて
みると、また違った印象を受けるかもしれません。

福井氏インタビュー記事
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200110/10toku.html

webサイト構築のメイキング (NTT DATAの事例)
http://www.macromedia.com/jp/showcase/monthly/nttdata/contents_more.html

■ 注目したいPEOPLE NO.2

次に紹介したいのは、アートディレクター・佐藤可士和氏です。

佐藤可士和氏:有限会社サムライ代表
→ http://www1.neweb.ne.jp/wa/academy/newsamurai.htm (プロフィール)

キリン極生やSMAPキャンペーンなどのビッグクライアントを手がけておられる
方なので、佐藤可士和氏についてはご存知の方も多いのではないかと思います
が、佐藤可士和氏の仕事に一貫して流れているのは「コンセプチュアル」のよ
うです。

「コンセプチュアル」、つまりコンセプトが決まってからでないと何もしない、
何もできない、というスタンスはブランディング手法に通じるところがありま
す(詳しくは次回以降お伝えします)。コンセプトを明確化するところからスタ
ートするので、当然細部まで全く同じコンセプトの仕事などが存在する訳も無
く、いわゆる「資料を見てつくる」とか「××のような感じで・・・」とかい
うことは一切されないようです。そのため、サムライのオフィスにはびっくり
するほど物がない、というのは有名な話です。

佐藤可士和氏がコンセプチュアルであることを裏付けるもうひとつのエピソー
ドがあります。佐藤可士和氏は博報堂在籍中から独立することを計画していた
そうですが、会社の名前(=コンセプト)が決まらずに、その理由で独立が数ヶ
月遅れたそうです。また、学生時代にバンドをする際にも、まずバンド名を決
めてから、その後にメンバーを集めたそうです。そのあたりは、実際の仕事に
も通じているようです。

佐藤可士和氏が手がけた仕事は街中でも誰もがよく目にするものばかりですが、
それらをじっくり観察し、この裏にはどのようなコンセプトがあるのだろうか、
と考えるだけでも、ブランディング手法について何かしらヒントを得ることが
できると思います。

キリン極生やSMAPキャンペーンのコンセプトについは、次のインタビューで詳
しく述べられています。是非ご覧下さい。

GOOD DESIGN AWARD: KAZUO'S VOICE
→ http://www.g-mark.org/kazuosvoice/016/index.html

今回は、いわば番外編っぽく、注目したいニュースと業界人にスポットライト
を当てるところからスタートしましたが、次回からは具体的にどのようなフロ
ーでどのようなメソッドを使うことができるのか、考察していきたいと思いま
す。

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■ 今回のまとめ

・ブランディング手法は未だ確立されていない
・先人を手本とし、そのエッセンスを取り入れることは有益である
・ブランディングは楽しい
・ブランディング=コンセプチュアルワーク、とも言える
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★ 参考文献
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執筆にあたり、下記の資料を参考にしています。もしご興味を持たれた方が
おられましたら、是非とも一読されることをお勧めします。
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◆「日本経済新聞」2002年8月19日月曜日朝刊
----------------------------------------------------------------------
◆「Director's MAGAZINE」2002年7月号&8月号
┗ http://www.broadnet.or.jp/magazine/backno/2002.html
----------------------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------------------
【PROFILE】 山下マモル [ 空想屋 ]
 http://www.coosouya.com/  mailto:yamashita@coosouya.com
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『編集後記』
  「無理をしない」
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今回の『映像作家研究ファイル』でご紹介した山内健司さんですが、
「Smap Short Film」(VIDEO、DVD) の中に、演出風景の貴重なメイキング映像
が収録されています。一見、普通っぽい風貌をされている方なのですが、その
独特の語り口と作風とのギャップはちょっと笑えます。「治療」に出演してい
た香取くんもインタビューの中で「あんまり頑張らないところが好きです。」
と語っているよう、表面的にはすご〜く静かで淡々と演出している姿を、ギャ
グの細かい部分の修正を真剣な表情で指示している姿かと想像すれば、クスッ
としてしまうと同時に、あの笑いは、ほとんど笑わない山内氏が、緻密に計算
して作られたものなのだな〜と感心もさせられます。「あまり頑張らない」と
いうのは、肩の力を抜きリラックスして仕事をすると意味では実はひじょうに
大切なことなのだと思います。

山内氏のインタビューの中で、
 ┗ http://www.grasshoppa.jp/text/paper/002_content_a01.html
  「日々、心がけていることがあったら教えてください。」
という質問に対して、
  山内「無理をしないこと。」
と語っておられるよう、まさにこれが良質な作品をコンスタントに制作する
秘訣なのかもしれません。

最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。
次回は、10月7日発行の予定です。

====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
 発 行    GAUZINE NET  [ http://www.gaucho.com/gauzine/ ]
 編 集    尾崎 英明  [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
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