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COLUMN > GAUZINE > No.037


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================================================ No.037 2002/11/07 ===

  W E B  D E S I G N E R S  M A G A Z I N E  G A U Z I N E

   [COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/021107.html

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                        配信部数:6,098部
『GAUZINE』 No.037 のラインナップ
 ┃
 ┣『映像作家研究ファイル』
 ┃ 「許しによる解放〜ウェス・アンダーソン」
 ┣『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
 ┃ 「目指したい。ユーザと一緒に成長するサイト運営」
 ┣『ブランディングとWEB』「まずはコンセプト・メイキング」
 ┗『編集後記』「Leon Ware」「iMedio conference 2002」

 
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『映像作家研究ファイル』 vol.23
  「許しによる解放〜ウェス・アンダーソン」 
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『映像作家研究ファイル』は、ブロードバンド時代に対応していくスキル
としての「映像表現」について探求していく企画です。

◆ 若き天才監督〜ウェス・アンダーソン
┗ http://www.wesanderson.org/

今回は、「天才マックスの世界」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の
ウェス・アンダーソン監督をご紹介します。
コラムの構成は「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の作品スタイルに合わせて、
章仕立てで進めていき、文体もなんとなく「である。」調にしてみました。

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の関連情報は、下記サイト参照。
 ┣ http://www.movies.co.jp/royal/
 ┣ http://www.alc.co.jp/eng/eiga/ginmaku/htm/movie0209.htm
 ┣ http://www.kobelco.co.jp/kobe/cinema/back/rtbaums_k.html
 ┣ http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2909
 ┗ http://www.walkerplus.com/tokushu/200209021/movie.cgi?movie_id=mo1508

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● 第一章 ウェス・アンダーソンについて

1970年生まれの、ウェス・アンダーソンは、これまでに3本の長編作品を発表
しているが、日本での知名度はまだまだ低い。

1.「Bottle Rocket〜アンソニーのハッピーモーテル」(1996)
2.「天才マックスの世界」(1998)
3.「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001)

デビュー作「Bottle Rocket」は国内ではビデオ未発売、「天才マックスの世界」
も劇場未公開でビデオリリースのみ、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」が
実は日本ではじめての劇場公開作品となる。

16ミリの自主制作の作品が偶然、名匠ジェームス・L・ブルックス監督の目に
とまったのをきっかけに、プロ・デビューすることになるが、業界内の評価は
ひじょうに高く、2作目の「天才マックスの世界」はビデオレンタル店などで
カルト的人気を誇っていた。
そして、「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」が、2001年度アカデミー賞のオリ
ジナル脚本賞にノミネートされるなど高い評価と人気を得て、一躍世界的に注
目される映画作家になった。
ごくごく普通のルックス
 ┗ http://www.wesanderson.org/photos/set/trt.html
をしながら、監督、脚本、製作(共同)まで手掛ける、今年でまだ32歳の若き
才人である。

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● 第二章 緻密なディテールにより構築された独特の世界観 

ウェス・アンダーソンの作風を、大まかに表現すると、映画史に残る数々の
古典的作品の手法や表現方法にオマージュを捧げながら引用し、物語の展開、
構図、音楽、衣装、小道具などの徹底した細かなディテールの積み重ねによっ
て、独自の世界観を構築している、という感じだ。

作風は、どちらかといえば、オーソドックスな正統派路線を継承しており、
悪意も暴力もほとんどなく、テーマはいつも「友情」だったり、「家族愛」
だったり、常に人と人との関係を描いている。

基本的にはコメディだが、シュールさやポップでキッチュな感覚もあり、
テーマの健全性も含めて、幅広い年齢層に訴えかける魅力を持っている。
すべてのカットが必然性を持つように緻密に計算され、小ネタも満載だったり、
あえて結論を提示しないようなオフビートな「はずし」や「裏切り」のセンス
にも光るものがある。

小ネタに関して具体的にいくつかあげると、
 ・ダルメシアンのマウス
 ・マーゴの指の秘密
 ・赤いジャージを着ている理由
 ・手の甲に埋まったBB弾
など、いろいろあるが、これらが登場人物の性格や境遇を知る上での伏線的役
割として見事に意味づけられ機能している。

細かい部分を見れば見るほど、監督のこだわりや独特の世界観を構築するため
の緻密なディテールの積み重ねに気づかされる。以下、そのあたりこだわりや
ディテールの積み重ねについて、実例をあげて紹介していく。

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● 第三章 超一流のカメラマンによる家族写真

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のポスターやチラシの集合写真は、
リチャード・アヴェドンという有名なカメラマンの撮影によるものである。

アヴェドンは、カーター大統領の家族写真からウォーホルのファクトリーの
メンバーの集合写真など数々の名作を世に出している超一流のカメラマンだ。
ミリ単位で位置を指示していくアヴェドンの写真術に魅了されたアンダーソン
監督の希望で実現した、ひじょうに「高い」写真とも言える。

わたしは、この写真の中の「赤いジャージを着た妙な親子」を一目見ただけで
爆笑し、この作品がどうしても観たくなった。
http://www.musashino-k.co.jp/eiga/data/karite/theroyaltenenb.html
一体なぜ彼らはあんな格好をしているのか知りたくて …。

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のエッセンスは、ある意味この一枚の集合
写真に集約されていると言ってもよい。この作品がテネンバウム一家と、それ
をとりまく人々の物語であることは、このビジュアルから十分に伝わってくる。
「どこか変だけど、なんとなく面白そうな予感がする。」という、つかみは
ほぼ完璧に機能しているであろう。

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● 第四章 登場人物とキャラクター設定

物語のキャラクター設定を考えていく上でも、必要になってくるので、
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の登場人物を、ざっとご紹介しておく
ことにする。

○テネンバウム家
 ・父  …… ロイヤル (ジーン・ハックマン) 
 ・母  …… エセル  (アンジェリカ・ヒューストン) 
 ・長男 …… チャス  (ベン・スティラー)
 ・長女 …… マーゴ  (グウィネス・パルトロウ) 
 ・次男 …… リッチー (ルーク・ウィルソン)
 ・孫1 …… ウージ   チャスの長男  
 ・孫2 …… アリ    チャスの次男  
 ・愛犬 …… バックレー 
 ・執事 …… パゴタ  (クマール・パラーナ) 

○テネンバウム家の関係者
 ・ヘンリー …… エセルの再婚相手の会計士(ダニー・グローバー)
 ・イーライ …… リッチーの親友の作家  (オーウェン・ウィルソン)
 ・ラレイ  …… マーゴの夫の神経学者  (ビル・マーレー)

これらの、ある意味豪華なキャストによる個性豊かなキャラクターたちが
この物語をつくっていく。

物語は、「天才一家」と呼ばれていたテネンバウム家の栄光と挫折の歴史を
見事な語り口で見せたあと、20年以上も疎遠だった父ロイヤルが、部屋代の滞
納で住んでいるホテルを追い出されたことをきっかけに、もう一度家族みんな
で一緒に暮らそう、と持ちかけるところから展開していく。

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● 第五章 カルテット方式の人物配分

登場人物の多い作品の場合、通常は「群像劇」の形式で、登場人物を何組かの
グループに分けて、別々の物語を並行して進めていく方法をとる場合が多い。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の場合、脚本の段階で4人の人物をひとつ
のグループとした「カルテット」を意識した人物配分がとられている。

つまり、
[A]ロイヤルをとりまく人々〜妻の再婚話をめぐるゴダゴタ
 ・ロイヤル (夫)……… 内心ヘンリーのことが気にくわない
 ・エセル  (妻)……… 自分勝手なロイヤルにあきれている
 ・ヘンリー (妻の再婚相手)…… ロイヤルと正反対の誠実な男
 ・パゴタ  (執事)…… ロイヤルの手下的役割

[B]マーゴをとりまく人々〜マーゴを愛する3人の男たち
 ・マーゴ  (養女の長女)… 本当は誰を愛しているのかわからない
 ・リッチー (次男)………… 養女のマーゴに想いを寄せている
 ・イーライ (隣人)………… リッチーの親友だがマーゴとも浮気してる
 ・ラレイ  (マーゴの夫)… 愛のない結婚生活をなんとかしたい

[C]チャスをとりまく人々〜赤いジャージの一家
 ・チャス  (長男)…………… 妻の死がトラウマになっている
 ・ウージ  (長男の息子)…… 父親にうんざりしながらも
 ・アリ   (長男の息子)   けなげに従っている     
 ・バックレー(愛犬)

のように、犬も含めてそれぞれ4人のグループで構成される人物相関により
軸となる物語をいくつかに分けて展開させていく構造をとっている。

また、ストーリーの状況に応じて、さまざまな別のカルテット

[D]おじいさんと孫との交流
 ・ロイヤル (祖父)
 ・ウージ  (孫1)
 ・アリ   (孫2) 
 ・バックレー(愛犬)

[E]父と3人の子供との関係
 ・ロイヤル (父)
 ・チャス  (長男)
 ・リッチー (次男)
 ・マーゴ  (養女の長女)

なども構成しながら、複雑な人間相関をいろいろな組み合わせで見せていく。
4人の人物を、人間関係の基本単位に設定して物語を構築している。

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● 第六章 すべてを受容する隠れた理解者の存在

主要キャストからはクレジットが外されているが、実はもうひとり重要な人物
がいる。ホテルのエレベーター係でロイヤルの親友役を演じているシーモア・
カッセルである。このシーモア・カッセルは、ジョン・カサヴェテス映画の名
優して知られているが、前作「天才マックスの世界」でも、マックスの父親役
の温厚な理髪師を演じている。シーモア・カッセルの役どころは、超わがまま
なでどうしようもないマックスやロイヤルの唯一の理解者でもあり、彼らがど
んなことをやらかしても、必ず最後は受け入れてくれ、助けてくれる救いの神
のような存在だ。

自己中心的な主人公が今まで生きてこれたのも、こういう温厚な理解者がいて
のことであり、アンダーソン監督がシーモア・カッセルをキャティングしてる
のも、カッセル自身がインディーズ映画界における隠れた功労者であることを、
役柄とダブらせながら、伝えようとしているようにも見える。
 
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● 第七章 内面を映し出すファッションとインテリア

キャラクターの性格や嗜好は、そのファションや部屋のインテリアからも
にじみでている。例えば、ロイヤルの3人の子供たちは、それぞれ

・チャス  ……… 「アディダス」のジャージ (赤)
・マーゴ  ……… 「ラコステ」のワンピース (ストライプ系)
・リッチー ……… 「フィラ」のテニスウェア (ホワイト系)

といったブランドの衣装を、劇中ほとんで替えずに登場している。
マーゴにいたっては、そのパンダメイクとラコステのワンピースは、子供時代
とほとんど同じ。それらのファッションは、彼ら彼女らが、ひとつのことに
執着しがちな性格であると同時に、子供時代から少しも成長できてないことを
暗示しているようだ。リッチーの部屋のテントやその中の小物も子供時代その
ままを今だに引きずっている、と同時にマーゴとの唯一の思い出の場所の再現
でもある。3人の「内面の孤独」がこうした細かい描写により見事に表現され
ている。チャスがいつも赤いジャージを着ているのにも実は必然的な意味があ
り、その背後には、悲しい妻の死が関係していることも次第にわかってくる。

目に見えない内面的なものが、目に見える外面的なものに反映されていること
を前提にして、それらを視覚化していくプロセスこそが映像表現の持つ役割で
あることを再認識させてくれる。

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● 第八章 許しによる解放

「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」は、よく「家族の崩壊と再生の物語」と
紹介されている。「家族の再生の物語」は、たいてい終盤近くで感動的な
シーンがあるだろうと予想されるわけだが、この作品で個人的にもっとも感動
的だったのは、やはり父ロイヤルと一番仲のよくなかった長男のチャスが和解
するシーンであろう。

愛犬バックレーを事故で失い悲しむ長男のチャスに、父ロイヤルが、たまたま
近くにいた「スパークプラグ」というヘンテコな名前の犬をプレゼントする
シーンだが、20年以上に渡って父親を憎んでいたチャスが、はじめて
「おとうさん、ありがとう」と言って感謝する。さんざん家族に迷惑をかけて
きたとんでもない父親なのだが、そういう欠点も含めて、そんな父親を
「許し」「受容」するシーンだ。と同時に、チャスの「許し」は、自分自身が
抱えていた父への怒りや憎しみ、妻の死に対する悲しみ、それらすべての重荷
からの「解放」につながることに、自らも気づくシーンでもある。
他人を許すことは、自分も許すことでもあり、それは「葛藤からの解放」
という「癒し」と「再生」を行なうための重要なプロセスでもあるのだ。

自分の身の回りで起こるさまざまな出来事は、自分自身の内面の反映であり、
人生の辛苦は自分の葛藤の原因に気づき成長していくために必要なプロセス
なのだ、そんな人生観がウェス・アンダーソンの作品から感じとれる。
「若き天才監督」と呼ばれるだけの才能あふれる映像作家であった。

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★ ウェス・アンダーソン 関連サイト
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◆ WESANDERSON.ORG
┗ http://www.wesanderson.org/
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◆「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」
┣ http://www.movies.co.jp/royal/http://www.alc.co.jp/eng/eiga/ginmaku/htm/movie0209.htmhttp://www.kobelco.co.jp/kobe/cinema/back/rtbaums_k.htmlhttp://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=2909http://www.walkerplus.com/tokushu/200209021/movie.cgi?movie_id=mo1508
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■ 今回のまとめ

・作品の世界観は、細かなディテールの積み重ねによって構築されていく
・キャラクターの描写は、物語を伝える上で重要な要素となる
・人を許し和解することは、受容であると同時に自分自身の解放にもつながる
・葛藤からの解放は、癒しと再生を行なうための重要なプロセスである
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【PROFILE】 尾崎英明  [ GAUCHO ]
 http://www.gaucho.com/  mailto:gaucho@hal.ne.jp
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『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
  「〜目指したい。ユーザと一緒に成長するサイト運営〜」
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WEBデザインを表現面ではなくコミュニケーション面から見つめ直すコーナー。
ふだんデザイン誌があまりとりあげないレアな視点で書いてゆけたら、と
京都でWEB構築・デザインの仕事をはじめて6年の 井浦むつお が担当します。

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■ Web運営がシナリオ通りにいかないとき。

私の会社で運営をお手伝いしている、ある掲示板サイトがあります。ユーザ同
士情報交換をしてもらい、ユーザ嗜好情報を得ることが運営企業の目的です。

運営して3年目。いきなりアクセス数がおびただしい数になってきました。特
にプレスや広告出稿を熱心にしているわけではありません。ふと気がつくとマ
ンモスサイトになっていました。コミュニティサイトですから利用度合いは最
大の成果指標。それが悪くないのですから、よかった、よかった、となりそう
なものですが、ちょっと困ったことが起きました。企業側がターゲットとして
いる層と実際の利用者層にギャップが出てしまったのです。本来目標としてい
た層とは違う層が利用しているわけです。


■ いま得られる情報で未来を予測する矛盾

なぜそうなったのか?ログ分析、アンケートなどを通して、原因を真摯に探って
みるのはもちろん、いろんな仮説も検討する。まず重要なステップです。なるほ
ど、いろんな糸をたぐり寄せてみるとみえてくるものってあるものです。する
と、今後はコンセプト通りに事が進む立派な企画ができそうな気分になるから不
思議です。ただし、そうは問屋が卸しません。

ログ分析、アンケートなどの原因追及からは現状説明は得られても、将来のコン
セプティングに活かせるとは限らないのです。様々な原因が横たわっていても、
自分が原因にしたいものを優先的に選んでしまっています。それらを結びつけて
ある予測をたてるものですから、当然ズレが生じます。例えば、未来予測を考え
てみてください。バブル期、日経平均株価は60000円でもおかしくない、とい
われつついまや10000円にも満たなければ、2002年現在、宇宙の旅もまだ根付
いていません。あたった試しはありませんよね。

いまある情報で未来を予測する矛盾ですね。Webの仕事をはじめて、こうしたド
グマにはまる機会が多くなりました。


■ 現状をポジティブに受け入れ、ユーザと一緒に成長する。

ところで、口コミで根付いたユーザは、広告などで惹かれてきたユーザと違い、
間違いなく「好意的」です。これはわたし自身、何度も経験しています。企業の
思惑通りには、なかなかいかないものですよね。だって、わたしたちが企業の都
合中心に生活していないですから。

これまでお客にものを買ってもらうために、おびただしい投資をしてきた企業は
少なくありません。派手な広告、プレゼント作戦、キャッシュバック、、、。い
わば「プレゼントを差し上げますから私とつきあってください!」と言い寄る作
戦です。かたや「わたしも友達にしていただけますか?」と寄ってきてくれるお
客様。あなたが経営者だったらどちらがいいですか?

経験上、ファンがつきやすい素養をもっているサイトというのがあります。とり
とめもなく列記すると
・やっていることが明確だ。
・企業のニオイがしない。
・何をやるにも手続きが簡単だ。
・友達に紹介しやすいタグラインがある
・・・・・などなど、一言でいえば、『ユーザと一体感が強い』ということ。仮
に、シナリオ通りに現状が進まなくても、ユーザと一緒に成長できる力があるサ
イトです。


■ 仕事相手を間違えてはコワイ、昨今のWeb構築。

企業がその気になれば、サイトでとんでもない好循環サイクルをユーザと共有で
きる時代になっています。同時に、他のサイトに好循環サイクルをつくられたら
当然、淘汰されることになります。自然、サイトの仕事もなくなってゆくでしょ
う。昔、クライアントとは仕事をくれる企業だと教え込まれました。たしかに伝
票上でもそうなっています(笑)。ただ、対等ではありません。仕事や予算の権
限を握っているのはクライアント側のみですし、その企業の権限を握っているの
は他でもないわたしたち生活者です。

クライアントのスペシャリストになれば、目先の仕事は案外とりやすいものです
が、Web構築の相手は間違いなく生活者ユーザ。その影響は日増しに強く感じて
います。はて、どう仕事に取り組もうか。悩むことの多い今日この頃です。

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■ 今回のまとめ

・知っておきたい、いま得られる情報で未来を予測する矛盾。
・目指したい、ユーザと一緒に成長するサイト運営。
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【PROFILE】 井浦むつお  [ 有限会社ヒキダス ]
 http://www.hikidas.com/  mailto:iura@hikidas.com
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『ブランディングとWEB』
  「まずはコンセプト・メイキング」
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『ブランディングとWEB』は、ブランディングにおけるWEBの役割・可能性など
を探り、その中から日々のWEB制作活動に役立つエッセンスを取り入れよう、
という企画です。一介のWEB屋である空想屋の山下マモルがお送りいたします。

今回から数回に渡り、具体的なブランディング手法についてまとめたいと思い
ます。しかし、先回もお伝えしたとおり、未だ特に確立された手法が存在する
訳ではないので、これは私の限られた経験と知識に基づくもの、また特にWEB
制作を中心とするクリエイティブにおけるもの、と考えていただき、参考にし
ていただければ幸いです。

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■ まずはコンセプト・メイキング

ブランディング手法は、次の3ステップに集約されます。
1)コンセプト・メイキング
2)クリエイティブ・プランニング
3)デベロップメント
今回は「1)コンセプト・メイキング」にスポットを当ててお伝えします。


■「コンセプト・メイキング」ってなに?

「コンセプト・メイキング」には次の2つの要素が関係します。

・そのメーカーや商品が持つ価値を明確にすること。
・マーケットにおいて、そのメーカーや商品が、どのようなターゲットに、
どのようなポジショニングで、どのようにアピールするか、を明確にすること。

つまり、「コンセプト・メイキング」とは上記2つの要素を元に、方向性
(指針)を示すことです。

ここで、間違ってはいけないのは、「コンセプト・メイキング」とその後に
続く「クリエイティブ・プランニング」は異なる、ということです。つまり、
「コンセプト・メイキング」はあくまでも基本となるメッセージ(道筋)であっ
て、どのような表現を行なうか、どのようなキャンペーン展開を行なうか、と
いった表現方法を決める「クリエイティブ・プランニング」は、後ほど詰めて
いくこととなります。

「コンセプト・メイキング」というと何か大掛かりなもののようなイメージ
があるかもしれませんが、普段何気なくやっていることです。例えば、夕食の
準備をするにしても何も考えずにいきなり包丁とまな板を出すようなことはし
ません。少なくとも誰に、いつ、何を作るのか、ざっくりと考えた上で台所に
立つはずです。さらに仕事に近いところで例を挙げると、何かのデザインをす
る際、パソコンに向かっていきなり制作をはじめる人は少ないと思います。ま
ずはラフを書いたりメモに考えをまとめたりするところからスタートするでしょ
う。「コンセプト・メイキング」とはまさにそのステップのことです。


■ なぜ「コンセプト・メイキング」が必要?

「コンセプト・メイキング」は、エクスターナルなもの(対クライアントや
対協力会社)とインターナルなもの(対チームメンバーや対自分)がありますが、
そのどちらにおいても最も重要なステップであり、これなしには次のステップ
に進むことは勿論、プロジェクトそのものを開始することすらできません。例
を挙げて説明しましょう。

WEBサイト制作において、一度クライアントにオーケーサインをもらったトッ
プページデザイン案があります。しかし、ある日突然クライアントから「トッ
プページのベースカラーを赤から青に変えて欲しい」というリクエストが来ま
した。WEB制作を行なってる方であれば、大なり小なり似たようなことを経験
されたことがおありではないでしょうか?そのような時、コンセプト・プラン
ニングのステップを十分に踏んでいたのであれば、一度オーケーサインをもらっ
たデザインはそのコンセプト・メイキングに基づいている旨説明し、または
ベースカラーを変えることはコンセプト・メイキングに沿わないことを説明
し、双方気分を害することなく無駄な作業をカットすることができます。

逆のケースもあります。デザインを詰めていくに従って、「やはりあそこはこ
うすべきだった、こうしたい」と、改善案や新規案が出てくることは少なくな
いと思います。そのような時も、道筋とも言うべきコンセプト・メイキング
から外れていないうちは、極端に言うと何でもできるのです。クライアントも
そのような提案に感謝を示すかもしれません。

つまり、クリエイティブにとって「コンセプト・メイキング」はこの上ない
ツールとなるのです。

これはあるクリエイティブディレクターの方に聞いた話ですが、この「コンセ
プト・プランニング」に関して、特に外資系企業ではその重要性に対する認識
度が高く、これでもかというくらい時間と労力をかけるそうです。例えば、
"Pre-Production Meeting"(制作前のミーティング)という位置付けで"Summit"
とか"Day 1"と呼ばれる場が設けられ、丸一日以上を掛けて、関係者全員で
「コンセプト・メイキング」を行い意思疎通を図る、ということはよくある
そうです。どのような方法を取るにしろ「コンセプト・メイキング」からス
タートすることは必須であることを再認識させられました。

次回は、次のステップ「クリエイティブ・プランニング」についてまとめたい
と思います。

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■ 今回のまとめ

・「コンセプト・メイキング」とは次の2要素をベースに、
  方向性を示すことである。
1)そのメーカーや商品が持つ価値を明確にすること。
2)マーケットにおいて、そのメーカーや商品が、どのようなターゲットに、
どのようなポジショニングで、どのようにアピールするか、を明確にすること。

・「コンセプト・メイキング」は強力なツールであり、必要不可欠である。
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【PROFILE】 山下マモル [ 空想屋 ]
 http://www.coosouya.com/  mailto:yamashita@coosouya.com
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『編集後記』
  「Leon Ware」「iMedio conference 2002」
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GAUCHO 尾崎です。このメールマガジンは、11月7日のA.M.11:00ごろ配信され
る予定ですが、実はその頃ちょうど京都/井浦さんのヒキダスのオフィスにう
かがってる時間かと思います。前日の11月6日に大阪市内のクライアントさん
の会社で打合せをしたあと、ブルーノート大阪でリオン・ウェアのライブを
見て、翌日京都へ、というような予定で関西出張しているところです。
モバイル環境がないもので、このメールマガジンも11/5の深夜に予約配信
して出かけています。

リオン・ウェアは、マービン・ゲイの名盤「I want you」の作曲者としても
知られている70年代から活躍しているソウル系のアーティストですが、たま
たま来日する情報をを知って、音楽好きの友人と最終日のラストステージを
予約しました。  http://osaka-bluenote.co.jp/new-021104.html

30年以上のキャリアを持つ「フリー・ソウル・シーンのメロウ大王」とも
呼ばれるリオン・ウェアですが、実は今回が日本初来日とのこと。
1940年生まれなので、もう還暦を越えてるのですが、ソウル界の隠れた職人
的才人の渋〜いステージが観れそうです。 
ソロ・アルバムも、ようやく近年続々とCD化されています。
http://www.geocities.co.jp/Broadway/8774/leonwaredisco.html
http://www.leonware.com/

あと、11/7〜11/8は、大阪で開催されるブロードバンド関連のセミナー
iMedio conference 2002
http://www.imedio.or.jp/conference2002/
http://www.imedio.or.jp/conference2002/program.html
の中野さんと、福井さんのセッションにも参加してみようかと思ってます。
どんなお話が聞けるか楽しみです。

最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。
次回は、12月中旬発行の予定です。

====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
 発 行    GAUZINE NET  [ http://www.gaucho.com/gauzine/ ]
 編 集    尾崎 英明  [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
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 Copyright(C) 2002. GAUZINE NET. All rights reserved.
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