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================================================ No.038 2002/12/20 ===

  W E B  D E S I G N E R S  M A G A Z I N E  G A U Z I N E

   [COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/021220.html

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                        配信部数:5,965部
『GAUZINE』 No.038 のラインナップ
 ┃
 ┣『映像作家研究ファイル』
 ┃ 「作家性を超越するとき〜エドワード・ヤン」
 ┣『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
 ┃ 「〜発注側-受注側。実はよく知らなかったお互いの価値観〜」
 ┣『ブランディングとWEB』
 ┃ 「つぎにクリエイティブ・プランニング、最後にデベロップメント」
 ┗『編集後記』「島根・松江のイベント」

 
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『映像作家研究ファイル』 vol.24
  「作家性を超越するとき〜エドワード・ヤン」 
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『映像作家研究ファイル』は、ブロードバンド時代に対応していくスキル
としての「映像表現」について探求していく企画です。

◆ アジアが誇る世界的名匠〜エドワード・ヤン
┗ http://www.informatics.tuad.ac.jp/net-expo/asian-cinema/taiwan/filmography/ja/d03.html

■ 作家性の喪失

『人生で起こるいくつかのことは、数字の1+2と同じくらいとても簡単で
 ある。私は1980年にフランスのリベラシオン紙が、カンヌ特集の付録として、
 世界中の映画監督達に問うたシンプルな質問を思い出す。
 「あなたは、なぜ映画を撮るのですか?」
 私の答えは、その質問と同じくらいシンプルだ。
 「多くを語らなくてすむから。」
 映画監督が語る最高の言葉とは、映画の表面でなく、多分、内側に存在する
 もののはずだ。この映画は人生における1+2と同じくらいシンプルである。
 私はこの映画を見終わった観客が、まるでただの友達と一緒にいたかのような
 気分を味わって欲しいと思う。もし彼らが、「一人の映画監督」で出会った
 ような印象を持って映画を見終わったとしたら、私のこの映画は失敗作で
 あったと思う。』

上のコメントは「ヤンヤン 夏の想い出」について、監督のエドワード・ヤン
が2000年4月に、自ら語ったコメントです。
(「ヤンヤン 夏の想い出」の原題は「a one & a two」)

このコメントをかなり深い意味を内包していると思いますが、
〜「一人の映画監督」で出会ったような印象〜 というのは、つまり
この作品が「映画監督エドワード・ヤンの作品」というような感想をもし観客
が持ったとしたら、失敗作である、と言ってるわけです。
これは、作家性からの脱却というか、自分の映像スタイルを捨てるという勇気
ある決断のもとに作られた作品ということになります。

これまでのエドワード・ヤンの作品といえば、
「恐怖分子」「クーリンチェ少年殺人事件」「恋愛時代」「カップルズ」
( http://www.gaucho.com/cinema/ 参照 )
など、独特の映像センスと映像文法を誇るまさにエドワード・ヤン・スタイル
とでもいうべき傑作の数々でした。

では、どうして、エドワード・ヤンがそうした「作家性の喪失」という試みに
挑戦したかということです。これは、映画や映像のみならず、あらゆる表現手
段を考える上でもとても重要なメッセージのような気がします。


■ 作家性を超越する

映画や映像の本来の役割を考えてみると、なんらかの「情報を伝達すること」
ではないかと思います。それは、一般的には「物語」という形式を持って表現
されます。「物語」の中には、普遍的なメッセージや人間が大切にしなければ
ならないことなどが、さりげなく内包され、観る側との共感や同調によって、
ある種の情報として伝達されます。

しかし、その「情報を伝達する」場合の表現方法について考えてみた場合、
映像を作る作家側の「技術」のようなものが、「物語」の伝達の邪魔になる
こともあります。WEBサイトの場合も、サイトのイメージやブランドを伝える
ためのFlashムービーが、Flashのテクニックを見せるためのムービーになって
しまってる場合もあります。もちろん、そのFlashのテクニックを見たいアクセス
ユーザーもいるわけですが、それは多分、WEB制作者だけでしょう。
大半のアクセスユーザーは、WEBサイトになんらかの情報を探しに来ている
わけで、デザインやムービーの「技術」を見に来るわけではありません。
この問題は、むかしからよく議論になる話題ですが、デザイナーが陥りやすい
罠としての「デザイナーのエゴ」の問題です。


「ヤンヤン 夏の想い出」において、エドワード・ヤンは、自らの映像スタイル
を捨て、「物語」を語ることに専念しています。これまでのエドワード・ヤンの
ファンにとっては、この作品は今までのシャープに映像感覚や一瞬の狂気が爆発
するような衝撃的シーンはほとんどありません。「物語」は、家族におこる日常
的風景を 2時間53分、淡々と描いているだけです。

しかし、この作品を見終わったとき、わたしは、とても「幸福な気分」になり
ました。特に号泣するシーンや感動的なシーンがあるわけではないのですが、
抑制されたエドワード・ヤンの演出は、我々人間が生きるいく上で直面し、
葛藤することやその葛藤を克服していること、それ自体が生きている意味で
あり、人生は結果よりもプロセスであることを静かに教えてくれます。

「ヤンヤン 夏の想い出」は、3回観ても飽きないほんとにすばらしい名作です。
もし、この作品を観て何も感じなかった方は、もう一度自分の生活における
「時間の感覚」について考えて直してみる必要があるかもしれません。
多分我々は「時間を急ぎすぎて、本質を見のがしてしまった…」のだと思います。


■ つながりの発見

2000年1月より24回にわたって連載してきた『映像作家研究ファイル』は、
今回で一端終了とさせていただきます。WEB制作者がなぜ映画の解説を読まなけ
ればならないのだ、と怒って登録解除された方も多いかと思います。
しかし、2000年1月の段階でわたしがなぜ『映像作家研究ファイル』をスタート
させたかということは、今この号を読んで下さっている方は、なんとなく
ご理解いただけてるかと信じています。

ブロードバンド時代といっても、要はコンテンツなのです。
ブロードバンド時代のコンテンツを作るのは、映像制作者とWEB制作者になって
いくだろうと思います。しかし、WEB制作者は、もともとDTPのデザイナー出身の
方だったりプログラマー出身の方だったりして、映像文法や映像表現の技術的
側面というのは、ほとんど勉強されていないと思います。もちろん、わたしも
その一人です。しかし、ブロードバンド時代のコンテンツというのは、さきほど
もいいますが、「技術」ではなく「物語」を伝える「センス」だと思うわけです。

しかし「センス」を教えてくれる専門学校はなかなかありません。
「センス」は、もともと持っているものというより、自分で身につけるもので
あり、ある種の「ロジック」だと思います。さまざまな情報をサンプリングして
リミックスすること、それがまさに現在のエンターテイメントであり、メディア
表現だと思います。24回分の『映像作家研究ファイル』には、実はさまざまな
ヒントがパズルのように組み込まれてます。「センス」は直接的に表現するもの
でなく、「感じる」ものですから、わたしがなぜこの時期にこの映像作家を
研究していたかということは、時間がたってから、理解してもらえることでは
ないかと思っています。今一度、わたしが組み込んだパズルを探してつなげて
みて下さい。きっと、アッと驚くいくつもの発見があることでしょう。

糸井さんの対談本「海馬」の中に「つながりの発見」というフレーズがあります。
さりげない言葉に隠された言外の意味をくみとり、そこに流れる一貫性と関係性
を発見するのが、直感だと思います。そういう意味で、「センス」や「直感」も
実は、「ロジック」なんです。「つながりの発見」は「センス」と「直感」が
統合したときに起こります。そのためには、常に頭をクリアーにしておくことが
重要だと思います。

わたしはこれまであえて、自信なげにちょっと下手な文章を書いたり、あるとき
はややキツイ文章を書いたり、いろいろ実験してきました。ちょっとキツイ書き方
をしたときは、やはり登録者が減ります。あたりさわりのない書き方をすれば、
登録者は横バイです。わたし自身、登録者が増えても減っても特に気にしてない
のですが、自分の発信した情報がどこまで読者の方に伝わっているか、というこ
とは3年くらい前は結構気にしていました。でも、最近はそういうことがどうでも
よくなってきました。読者が自分をどうとらえようとも自分は自分なわけですし、
読みたくない人は読まないでしょう、わかる人だけわかってくれれば、それでい
いかなと思っています。読者を尊重するということは、そういうことであり、
情報発信側は、読者の気持ちを考慮しながらも、最終的には情報発信側の好きな
ように表現するしかないのです。これは「作家性の喪失」とは逆のことように
も思えるかもしれませんが、物事は常に二面性があり、視点を変えれば、善も悪に
転換するのと同様に矛盾したロジックにも、それなりの意味があるわけです。

WEB制作者は、これからの時代、とても重要な役割を担うことになるでしょう。
マスメディアに毒された大衆の頭脳を覚醒させていくのも、WEB制作者でしょうし
大きな力にインターネットが支配される前に、WEBサイトは真実を伝えるメディア
として、機能していく必要があると思います。それを実装するのが、WEB制作者
であり、時代を創り上げていくまさに「クリエイター」なわけです。
これからも、ネット上を飛びまわるカウボーイとして、ガウチョはマイペースで
活動していきます。皆さんも自分の本来の使命に気ずいて、自分がなすべきこと
を発見して、良質のWEB制作に励んで下さい。


■ 新企画スタート

2003年からは、「ショートムービー」に関する新企画をスタートします。
2年間の「WEB制作者のための映像制作入門/鑑賞編」も終了し、
いよいよ「WEB制作者のための映像制作入門/実践編」のスタートです。
WEB上でのショートフィルムやWEBアニメーションなどを鑑賞しながら、制作の
ヒントを探し出していければと思っています。どういう内容になるか、あまり
期待せずに待っていて下さい。

同時に「ショートムービー」に関するメーリングリストもスタートさせる予定
です。来年からは読者の方からの意見やフィードバックもお願いしたいと思い
っています。足かけ3年間、『映像作家研究ファイル』 にお付き合いいただき
感謝しております。

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★ エドワード・ヤン 関連サイト
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◆「ヤンヤン 夏の想い出」 (2000年/台湾)
┗ http://www.issey-ogata.net/YIYI/YIYI.htm
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◆ エドワード・ヤン監督インタビュー
┗ http://www.issey-ogata.net/YIYI/intv.htm
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◆ エドワード・ヤン作品ラインナップ
┣ http://www.stingray-jp.com/allcinema/prog/show_p.php3?num_p=7144http://www.mmjp.or.jp/BOX/database/edwardyang.htmlhttp://homepage1.nifty.com/sudara/yangroom.htm
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◆「海辺の一日」(1983年/台湾)
┗ http://www.gaucho.com/cinema/essay/1999/0430.html
 以前、WOWOWで放送されましたが、多分ビデオにはなっていなはず。
 なかなか観れない隠れた幻の名作。
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■ 今回のまとめ

・作家性の喪失は、表現者のエゴの崩壊でもある
・作家性を超越したとき、見るものの心に届く本当の表現が生まれる
・物事は二面的なものであり、論理の矛盾も受容すべきである
・物事の背後にあるつながりを発見したとき、アイデアは生まれる
・デザイナーは、表現の多様性を理解すべきである

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【PROFILE】 尾崎英明  [ GAUCHO ]
 http://www.gaucho.com/  mailto:gaucho@hal.ne.jp
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『ちょっと知っておきたいコミュニケーションデザイン』
  「〜発注側-受注側。実はよく知らなかったお互いの価値観〜」
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WEBデザインを表現面ではなくコミュニケーション面から見つめ直すコーナー。
ふだんデザイン誌があまりとりあげないレアな視点で書いてゆけたら、と
京都でWEB構築・デザインの仕事をはじめて6年の 井浦むつお が担当します。

みなさまの中には、Web制作に携わっておられる方も少なくないでしょう。制作
側、発注側、また運営側だという方まで様々だと思います。私はほぼ6年間Web業
界(この言葉、最近やや疑問ですが)に身を投じていると「長くやっておられる
のですね〜」と言われることもしばしば。6年ひと昔、Web業界ならではですね。
今回は、主に受注側のみなさまへ向けた内容です。

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■ 発注側はどんなWeb制作者に仕事を発注したいか知っていますか?

『どんな制作会社に仕事を出したいのだろう?』受注側なら誰しも気に
なる素朴な疑問です。しかし、答えられる方はどれほどいらっしゃるでしょう
か?さらに発注側の答えと一致する自信はどれくらいおありですか?
日々、新しいサービスや会社が勃興するWeb業界において、ニュースに目を通す
だけでも大変です。技術をキャッチアップすることには敏感でも、業界の歴史が
浅いことも手伝い、受注-発注お互いの価値観を話し合うことは以外にも後回し
にされてきたのではないでしょうか?

■ 制作側と発注側の価値観。どこが違うか?

12/28発行の日経BP発行の日経デザイン別冊「Strategic Web DesignVol.2」に、
『運営に要するコスト。運営に要するスキル』という特集があります。発注側、
受注側からみた運営、制作コストとスキルへの意識をアンケート調査したもので
す。地域差は?料金の幅は?企業規模による違いは?など、様々な項目があります。
http://nd.nikkeibp.co.jp/nd/index.html

また、Webマスターへのアンケート結果もあります。
・Webマスターへ聞きました「こんなWeb制作会社に仕事を発注したい」
http://www.dragonfield.com/main/column/b020228.html
(※今年の春にドラゴンフィールドさんが行われた調査)

これら生の声からみえてくる特徴を挙げてみると、

▽1.制作側、発注側の価値観の差は歴然とある。
やはり、というべきかお互い見ている世界が違います。『受注側が考える発注側
が望むであろう価値』と『発注側が実際に望む価値』との間には歴然と差がある
ようです。

▽2.受注側は業務の合理化を、発注側はクリエイティブに興味を示す。
受注側が業務フローの合理化など、守りのビジネスに関心を示しているのに対し
て、発注側は「提案姿勢があること」や「商品やサービスの強みがあること」な
ど、攻めのビジネス姿勢を受注側へ望んでいます。言い換えれば、本当の意味で
のクリエイティブを要求しているとも理解できます。

▽3.『仕事価値の向上』に力を入れている受注側が成功している。
料金を下げることは必ずしも受注に結びつきません。発注側は何が何でもコスト
削減、と考えているわけではありません。

▽4.発注側は作業と知的創造を明確に区別している。外注は今後も減らない。
単なる作業そのものについてはコストダウンを要求しつつも、提案力など知的生
産に対しては理解があります。発注側の要望のひとつ、「トータルで業務を依頼
できる制作会社を望む」といった背景もなるほど理解できます。また、外注量は
今後も増え続けると考えている発注側は少なくありません。

こうしてみてくると、発注側は
・ビジネスを一緒に向上させてくれる会社や人と仕事をしたい
と強く感じているようです。パートナーを求めているとも言えるでしょうか。


■ ビジネスの価値観を共有できる会社と仕事がしたい。
   〜発注〜受注の関係を超えて〜

パートナーになる。美しい言葉です。ここで大切にしたいのは、やはりその先に
ユーザをみているか?お客を見ているか?です。

「お客さまの声を聞く取り組みとして、掲示板を考えています。」
「そうですか。率直な意見を聞く姿勢は評価されるのではないですか。」
「でも、会社の悪口は書かれると困るんですよね。上が気にするもので。」
「悪口・・・」
「だから削除機能をつけほしいんですよね。」
「ただ、意図的に削除される掲示板って利用者の不信感をあおると思います
が?」
「だったら、利用者を許可制にしたほうがいいですね。」

もし、ここでクライアントの都合に全てあわせれば、簡単に仕事はくるでしょ
う。

事実、無事私は仕事を受けました。しかし進捗は困難を極めました。なにしろ
ユーザメリットとクライアントメリットが真っ向から相反しているのです。これ
が解けたら、どんな難解なパズルでも解けるんじゃないか、と真剣に思いまし
た。やがて3ヶ月が過ぎ、季節もかわった頃、このいささか虫が良すぎる企画は
途中で頓挫してしまいました。担当者さんも私もくたびれもうけ。楽に仕事にあ
りつけるはずが、この結果です。

ネットは利用者の立場がずっとずっと強い環境です。だからこそ活かせれば有益
なビジネスメリットも創り出せるのですが、本質的に利用者優位を貫けないビジ
ネス姿勢だと苦しい展開になることは明白です。

目の前の仕事にありつくために、利用者の素直な立場にたったビジネス価値を共
有できないと仕事そのものが危うい。5年前の活きた教訓をいまでも覚えていま
す。

################### 井浦より年末のごあいさつ #########################

7月よりコーナーを持たせていただき、今回で6回目。購読いただきまして本当に
ありがとうございます。
さて、来年も同じテーマでひきつづきおつきあいいただこうと思っております。
よろしくおねがいします。
それでは、良い年末年始をお迎えくださいませ!

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■ 今回のまとめ

・受注側と発注側。お互いの価値観には歴全と差が!
・発注側のいたずらなコストダウン意識は希薄。提案力、総合力などを要望。
・何よりも重要視したい、ビジネス価値の共有。
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【PROFILE】 井浦むつお  [ 有限会社ヒキダス ]
 http://www.hikidas.com/  mailto:iura@hikidas.com
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『ブランディングとWEB』
  「つぎにクリエイティブ・プランニング、最後にデベロップメント」
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『ブランディングとWEB』は、ブランディングにおけるWEBの役割・可能性など
を探り、その中から日々のWEB制作活動に役立つエッセンスを取り入れよう、
という企画です。一介のWEB屋である空想屋の山下マモルがお送りいたします。

先回から、ブランディングの具体的な実装方法についてお伝えしており、先回
は1ステップ目である「コンセプト・メイキング」について触れました。今回
はその続き、2ステップ目と3ステップ目についてです。

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■ つぎにクリエイティブ・プランニング

ブランディング手法は、
1)コンセプト・メイキング
2)クリエイティブ・プランニング
3)デベロップメント
の3ステップに分けることができますが、つぎにくる「クリエイティブ・プラ
ンニング」とは、一言で言うと「具体的な広告表現やキャンペーン展開に落と
し込むために、その表現方法を計画する」ことです。実は、最も頭を悩ますス
テップはこの「クリエイティブ・プランニング」かもしれません。なぜでしょ
うか?

「コンセプト・メイキング」により立てられた短期・長期目標は言わば「腰」
であって、不変のものです。それとは逆に「クリエイティブ・プランニング」
により導き出される表現方法は、時と場合によって大きく変化します。例えば、
その媒体(メディア)によって変わりますし、それをいつ実施するのか、どこ
で実施するのか、というのも可変要素です。よって、「クリエイティブ・プラ
ンニング」はより柔軟な対応が求められ、腕の見せ所ということができます。

少し話は脱線するかもしれませんが、ここで必要とされるツールの1つに「企
画書」が挙げられます。企画書と言うと、難解なグラフやマトリックスが混在
する、Power Pointなどで作られたビジネス企画書を連想するかもしれません
し、場合によってはそのようなものも必要ですが、「クリエイティブ・プラン
ニング」で必要される企画書は、より現実に即したもの、より細かな気配りが
届いたものであるべきです。そのような企画書は、アート・ディレクターや
デザイナーのような「現場の人間」を介して作るほうが、よりよいものになる
ようです。また、その段階から現場の人間を関与させることによって、次のス
テップである「デベロップメント」によりスムーズに移行することができます。


■ 最後にデベロップメント

ここにきてようやく「デベロップメント」となります。「デベロップメント」
とは、「広告・SP・PRなどの開発や実施」のことを指します。WEBサイト構築
で例えるなら「開発→公開→運営」の部分のことです。このステップに関して
は、その媒体により方法は多種多様ですし、色々な専門書などを参考にしてい
ただければと思いますので、この場で詳しく述べることはいたしません。

ただ、重要なことは「デベロップメント」は全3ステップの中の1ステップに
過ぎない、ということです。最初の2ステップ「コンセプト・メイキング」と
「クリエイティブ・プランニング」を十二分に踏まえた上でこのステップに進
まないと、遅かれ早かれ発注側と受注側の両方にとって問題が出てきます。分
かりやすいのは、発注側がイメージしていた納品物と受注側が提出した納品物
が異なるというケースで、個人的にも経験があります。発注側の気持ちとして
は、できるだけ早く何か形となったものを見たいので、「まずデザインを・・
・」というリクエストがくることは少なくありません。ただ、そこで「コンセ
プト・メイキング」と「クリエイティブ・プランニング」の重要性と説き、そ
れを実施しないなら、結果的に双方の首を絞める結果となるのは明白です。ま
た、そもそものゴールとも言うべき「ブランディング」において、何の達成も
されないことは言うまでもないでしょう。


■ブランディング手法のまとめ

ブランディング手法は次の3ステップに集約されるとお伝えしてきました。
1)コンセプト・メイキング
2)クリエイティブ・プランニング
3)デベロップメント
ただ、このステップを踏むことが万能というわけではありません。個人的な過
去の経験などに基づき、ベストな方法と思われる段階をお伝えしたに過ぎませ
ん。結局は、実際にブランディングに関わられる方一人一人のオリジナリティ
が必要とされてくると思いますし、実際にブランディングに関わられる方自身
が万能である必要があるのではないかと考えます。

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■ 今回のまとめ

・「クリエイティブ・プランニング」とは「具体的な広告表現やキャンペーン
展開に落とし込むために、その表現方法を計画する」こと。チャレンジとなる
ステップであり、逆に腕の見せ所でもあるステップ。
・「デベロップメント」とは「広告・SP・PRなどの開発や実施」こと。忘れて
はならないのは、3ステップの最終ステップであり、前の2ステップ無しにい
きなりこのステップからスタートすることなどあり得ない、ということ。
・ブランディング手法において万能な方法はなく、制作者自身が万能であるべ
き。

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################## 山下より年末のごあいさつ ########################

7月から(間に1度休みを挟み)合計5回、「ブランディングとWEB」につい
て連載させていただきました。知識も経験もない若輩者のコラムに今回までお
付き合いいただき、まことにありがとうございました。皆様の日々の制作活動
に何か1つでも役立つことがあったのであれば幸いです。
今回を持ちまして連載のほうをお休みさせていただき、叉制作活動に専念した
いと思っております。長い間、ありがとうございました。
それでは、良いクリスマス、良いお正月を迎えられてください!

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【PROFILE】 山下マモル [ 空想屋 ]
 http://www.coosouya.com/  mailto:yamashita@coosouya.com
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『編集後記』
  「島根・松江のイベント」
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12/7〜8の島根県の松江のイベントに参加してきました。
http://www.will3in.jp/degital1.html

当日の様子は、
http://www.joho-shimane.or.jp/seminor/soho/event/result.php3
http://www.so-zo.net/bbs?128@33.1A8xaISBbp8^87@.eeb1cf3

で少しだけ見れます。

モンキー・パンチさん、とってもいい方でした。
アシスタントは、あまり使われていないとのことで、
サイトにあるモーションコミック
http://monkeypunch.com/
とかは、自らFlashを使ってタブレットで描かれているそうです。

島根県出身の錦織監督もメチャ楽しい方でした。
「白い船」http://www.shiroifune.com/ とってもいい作品です。
(菅野美穂の「守ってあげたい」の監督でもあります。)

tomatoを北海道に呼んでワークショップを開催したり、北海道の
ショートフィルム・フェスティバルの仕掛人である、久保さんからはいろいろ
なのことを学びました。新しいメーリングリストにもお誘いしてますので、
またお話し聞かせていただれればと思っています。

スタッフの方もお疲れさまでした。民間主導型の行政のイベントとしては、
成功したほうかと思います。

最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。
次回は、2003年1月下旬発行の予定です。

====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
 発 行    GAUZINE NET  [ http://www.gaucho.com/gauzine/]
 編 集    尾崎 英明  [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
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